旅で整えば旅で疲れもする。草津温泉まで片道4時間の高速バスの旅でありました。
帰宅後、夜にゆるゆるとこれを。
e-onkyo毎年恒例の企画「あなたのマイ・ベスト・ハイレゾ2022」に投稿の拙文が掲載されました。
今回は、
・BADモード / 宇多田ヒカル
・KISS (Remastered 2022) / L'Arc~en~Ciel
・Sibelius / Oslo Philharmonic Orchestra, Klaus Mäkelä
の「くにはる」名義の3本です。
どうぞよしなに。
氷川きよしのオリジナルセレクション。3枚組が3セット。このようなコンパイルが出ているとは知らなかった。慌てて音源をまとめてお借り上げしましたよ。
Vol.01は演歌&歌謡曲、Vol.02は時代物&音頭、Vol.03はロック&ポップス&バラード。濃いよ、濃すぎるよ。全部で9枚、本当に聴き通すことが出来るのか、少し後悔しております。
まずはVol.1のDisc1と2を聴きました。
しかしよい声だなと。聴き惚れる。演歌界における七色の声の持ち主だと改めて。とにかく歌の表情が豊富。かといってその芸達者さに溺れていない。一途に歌に専念しているこの世界観。
かと言って、パッと聴いてこの人だ!と分かるほどの強烈な歌声を持った人ではないのだよね。演歌&歌謡曲歌手として非常に素直な歌声。だからこそ楽曲の幅を手広くカバーでき、その多彩さをもって聴き手の耳を引きつける。それこそが武器。
このジャンルは楽曲の作りがある程度固定、形式化されているのだけれども、それだからこその歌い手の独自性が求められる世界でもあり。氷川きよしが持つ真っ直ぐな声の張りと艶は、個性だけではない、演歌の新しい世界を確立させたかのようも思えてくる。
そう考えてみると、氷川きよし以降に現れた「若手」とされた演歌歌手に、アクの少ない健全な声の持ち主が数多かったことも、氷川きよしの影響力の強さを物語っているのではないかと。それらの歌手はデビュー後の生き残りをかけた模索が大変だったことは、ここ10年ほどで実感させられることでもあり。
その点、氷川きよしにおいては模索ではなく、拡張といった表現がふさわしいのだよね。歌手道をとにかくブレなく突き進んで、数多の曲を巻き込んでブランドをしっかりと確立させていった。まさにこの世界における看板に成長しきったのだろうと。
どうやらその過程、広さを楽しめるコンパイルになっていそうですよ。Disc3も今晩中に聴いてしまおうかな。
めくるめく豪華絢爛な郷ひろみワールド、そのDisc4を聴きました。
このディスクは大幅にキャラクターチェンジ、そしてその固定を図りに来ているピリオドではないかと。「GOLDFINGER '99」の成功に気を良くしてなのか、相当にノッている郷ひろみを味わうことが出来ますね。近年の氏のイメージはこの辺りでほぼ定着しているといっても過言ではないかと。
大人としてのイメージ、アダルトな郷ひろみ像はバラード三部作などである程度確立されたという自信を持ってしてなのか、それらを全て踏み台にして相当にかっ飛んでます。チークタイムまでをも網羅した完璧なるパリピ像ではないかと。とにかく全力で聴き手を食いにかかってます。
思い起こせば出自は筋金入りのアイドルなのですよ。それを決して亡き者にしない、サービス精神の塊のようなプロフェッショナルな姿がここにはあります。ここは大人のアイドルとしての再デビューにあたる時期だったのでないかとも思えてくるほど。
「何をやっているんだろう、この人は」と呆れたり失笑するのは簡単なこと。いやいや、そうではないのです。この歳になってもここまでハジけることが出来ることに感心させられるべきなのだとようやく気がつきましたね。
ミディアムスローの曲を聴かせる力はもう十分に証明されている、シンガーとしての力を見せつけることに成功しているのです。あとは遊び心を発揮することに専念するのも当然の流れだったのではないかとも気付かされました。
ここまでキャリアを重ねながらもまだまだ充実期を継続、拡張させていることの素晴らしさ。この5枚組、聴き所があり過ぎて困りますね。飽きを感じさせないまま、残り1枚までやって来ましたよ。