音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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シベリウス:交響曲第5番 / パーヴォ・ベルグルンド, ヨーロッパ室内管弦楽団 (1996/2012 44.1/16)

先に届いたムック本、シベリウスの項に目を通す。ベルグルンドのこの演奏は最早定番的存在らしい。自分の中で生き残るシベリウス録音はこのベルグルンド盤かヴァンスカ盤だと思っていたので。両者とも名盤認定されていた。自分の耳はある意味において正しかったのだな。

と、選者の耳はさておいても、自分の耳が喜ぶシベリウス。第5番を聴いてみたのだけれども、ここまで生き生きとしている演奏だったか。これまでとは印象が全く異なって聞こえる。喜びに満ちあふれるシベリウス。演奏、楽器の一つ一つの音、流れが手に取るように分かる。音楽としての表情の朗らかさと豊かさが、こちらの気分まで高揚させる。

シベリウスの交響曲は全体として意気揚々とさせるタイプのものでは決してないけれども、人間の感情の表裏、陰陽をそこから読み取ることが出来るという点においては、実に人間的な音楽だと思えるのだ。

数年前まではアニミズム的に解釈することが多かったのだけれども、それももちろんのこと、人が作り出す、人としての音楽であることを忘れてはならないと再認識させられた次第。

朋あり北関東より書籍来たる

北関東に住む高校時代の友人から荷が届く。ムック本。「新時代の名曲名盤500+100」。

普段「レコード芸術」誌に目を通すことのない自分にとって、ランキングに振り切ったこのガイドは、これからのクラシック音楽のガイド役を買ってくれることでしょう。

なにせクラシック音楽はいわゆる名盤があまりにも多すぎて。自分にとっての名盤を探せばよいと言っても、その取っ掛かりを見つけるのもなかなかに難しいのは事実なのです。

評論にまみれず、潔く点取り表で構成されていることから、自分が名盤としている作品のおおよその世間的評価も分かりますし、ランクに入っていないなら入っていないなりに、自分だけの名演として楽しめばよいのです。

このような気の利いた書籍を贈ってくれる友人に感謝をします。ありがとう。

新時代の名曲名盤

2020年代邦楽にたっぷりと浸れた夜

自分の耳にとっての新作4連チャン聴きはさすがにキツいものがあった。ついつい追い込み過ぎる。

それでも大ハズレはなかった。かつ、名前は聞いていたけれども楽曲に触れてこなかった存在を掘り起こすことが出来たので、釣果としては大漁の部類でしょう。方向性が偏っていたことは、まぁ、抜きとして。

音源はため込むためにあるんじゃないよ、聴くためにあるんだよ。自分によく言い聞かせよう。

邂逅少女 / 三月のパンタシア (2022 44.1/16)

オジサン「三月のパンタシア」と「水曜日のカンパネラ」がゴッチャになっていたよ!

どうりで前者を聴こうと言う気にならなかったはずだ。後者を聴いて過去に痛い目に遭ったからね。

そんなこんなで仕切り直しで聴きました。三月のパンタシアを。

ボカロ音楽ならではの独自のメロディラインと曲展開は、「歌ってみた」ブームにてその枷を外されたわけだけれども、外された側も外した側もWin-Winの関係で存続しているところが興味深いものとして映るのです。

外された側、クリエイターはより手を広げて多くのシンガーに楽曲を提供したり自らボーカリストとして地位を作ることに成功し、その楽曲を歌いこなせる外した側のシンガーは楽曲に表現を与える存在として成立しているわけで。ジャンルやカテゴリなどはいとも簡単に形骸化するのだと実感させられる、わずかこの10年程度の流れではあったのですが。

それら音楽がアニメとの親和性が高いものであるのは、ある意味当然の流れから生まれた結果なのでしょうね。その種の音楽を好んで聴いている身からすると、これはすんなりと耳が受け入れてくれる音楽性とでも言いましょうか。

どれだけ複雑怪奇に曲を作ろうとも、根底にあるのはポップスのキャッチーさでありますから、広く受け入れられることもまた必定なのだよね、とかなんとか。

とりとめなく考えましたが、ま、そんな感じです。とても分かりやすい音楽でした。

邂逅少女 (通常盤)

Actor / 緑黄色社会 (2022 44.1/16)

引き続き棚卸し。このバンドの音源も聴かないままでいた。

上手いし、隙もないし、そつもないし、何よりもバンドとしての空気の抜けがよい。なるほど確かに人気が出る理由も分かる。明快さの磁力が強いものね。メジャーチューンならば弾ける明るさで、マイナーチューンならばウェットになり過ぎず。

以下個人的な見解。

若いです。作りがとても若い。その対象が若い。だから自分のようにある程度真っ当にひねくれてしまった人間にとってこの作りは眩しすぎるかな。その真っ直ぐさに少し気恥ずかしいものをおぼえてしまう。

Actor (通常盤)

踊る様に / ポルカドットスティングレイ (2022 44.1/16)

とどのつまりそう言うことなのか。

ロックバンドがロックを血眼になってやらなくとも、ロックバンドはロックバンドとして成立するのだなー、などと考えながら聴いていた。

21世紀もそろそろ1/4が経とうとしているわけだし、元号は令和だし、過去は諸々遠くになって、それと同時にとんでもない勢いで未来に突入しているし、これはこれだし、それはそれだし。

好みの物が隙間なく詰め込まれている箱の中から抜き取った、より自分好みのグッズだけを高く掲げて、それが箱の中の欠片でしかなくともこれは世界の全てであると公言してるかのような万能感。

全てが世界であるにもかかわらず、そんなものには目をくれることもなく、私が世界だと言ったら世界なの!うん、それは確かにそうだね、と肯いては手をつないで歩いて行くかのように。認めてしまえばそれこそが正義、こっちのものさ。

なにこの「楽しければそれでいいんだよ」感。こだわりをこだわりとして提示することも悪くはないけれども、それだけが全てではないよね?といった問いかけとレスポンスが共存しているかのごとく世界。

そうだよね、世界はあなたのものだよね。

踊る様に (通常盤)

エンターテイナー / オーイシマサヨシ (2021 44.1/16)

今日はあまりにもあんまりな一日だったので、母艦HDDに眠っている音源の棚卸しでもしようかと思いましてね。まだ耳を通せずにいる音源を聴いて気分を入れ替えようと。実のところは大して期待もせずに再生し始めたのですよ。

ところがどっこい。

😠⇒😄

怒りの自分から笑顔の自分へ見事にすり替わった。元気出ますね、これ。全てにおいて痛快の極み。今の自分の状態だからこそ、この手の勇気と元気とパワー、時折ギャグ精神にあふれる楽曲群がダイレクトに響いてくるのでしょうね。

テレビオリエンテッドな楽曲を作り上げる、その引き出しの多さにも驚かされますね。典型例でありながらもその枠を軽く飛び出して、よりゴージャズな、そしてよりパワフルな楽曲で立て続けに攻め立てるところもまた強い。

とにかく圧倒的な邪気のなさが一番の強みではないかと。アルバムタイトル、その看板に偽りなしでした。

エンターテイナー 初回限定盤(CD+Blu-ray)(特典なし)

秋の日に / 宮本浩次 (2022 44.1/16)

宮本浩次のカヴァーアルバムを聴く度に、これをどのように感じてどのように捉えればよいのかと頭を抱えてしまう。楽曲に対する初期衝動をそのままに押し出しているのだろうとは思われるのだけれども、それをそのまま受け止められるキャパが自分には無いということなのだろうか。頭の中で印象がとっ散らかって、どこから手をつけてよいかが分からないとでも言えばよいか。

秋の日に (通常盤)