音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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RAPHLES V / 林田健司 (1994)

ほんと、一昔前の話。

日本の土壌には存在しなかったファンクという領域に歌謡曲をかぶせて大ブレイクさせた(した)のが米米CLUBだったりDreams Come Trueだったり。で、同じ黒さでも、R&B方面の黒さに歌謡曲の出汁を加えた圧倒的なパーフェクトイミテーションが久保田利伸。いずれも「売りのSONY」。出汁の加え方に秘伝のレシピがあるか、もしくは肉のバイヤーの審美眼が恐ろしいほどに鍛え抜かれているか。

そんなこんなで、いい肉を仕入れても盛りつけが下手くそだったところに卸されてしまった悲劇は嘆いても仕方がない。歌謡曲という日本の肉臭さ、その素晴しい素地と黒さを持ちながらも、表舞台に出て来れずに終わってしまったのが林田健司だったんだよな。こんなに歌謡曲方向に針を向けていたのにな。

で、そのR&Bとファンクの塊を適当にミンチにしてひき肉にした後、歌謡曲と固定票の出汁でたっぷりと漬け込み、華やかに器に盛って提供したのが、マダガスカル的な歌謡曲集団としてのジャニーズ、そのSMAPだったのだよな。素材は良かったんだよ、素材は。だからこそ、林田健司の血は、SMAPにとっての「超」代表曲になるあの曲だったりこの曲だったりその曲だったりとして化けてリベンジに成功したわけで。

少し早すぎたか、もしくは著しくニッチだったか。いずれにせよ、上記の歴代の大物が構えた居の間をするすると通り抜けているうちに、上空から鳶にもってかれてしまった挙げ句、なんだかんだいって影の番長になってしまったのが林田健司ということで。

ということで、米米CLUBのライブにもDreams Come Trueのライブにも久保田利伸のライブにも行ったことがないくせに、林田健司のライブに行ったことがあるというのは、君と僕だけの永遠の秘密だよ。封印さ。