桜庭一樹の直木賞受賞後第一作。
桜庭一樹お得意のサーガ物。今回は女性の主人公一人に絞って展開されている。非常に気怠く、それでいて暴力的に物語は展開される。読んでいる最中に椎名林檎と鬼束ちひろが頭の中で鳴り止まなかった。解説者が書いているように非常に音楽的な作品かもしれない。若干冗長な気がしないでもないけれども、桜庭一樹の筆圧でグイグイと読ませる。この人はジュブナイルから脱却して成功しているという点で、読み手の読力を求めずに読ませてくれるという魅力がある。文庫になった桜庭作品は一通り読んでいるけれども、今回も傑作。この人の文学作品に外れはない。