トリビュート盤というものは非常に微妙なものであって、参加アーティストがどれだけ愛情を持って楽曲に接し、そして自分たちのカラーをどこまで注入するかによって仕上がりが大きく左右される。
ましてや去年亡くなったばかりの吉村秀樹を弔わんとしてリリースされるトリビュート盤では、まだ心に空いた穴が塞がらない状況で聴かされるのだから、生半可な気持ちで作られては困るのを通り越して怒りすら覚えてしまうだろうと。
そしてこの2枚のトリビュート盤。無名のバンドから、バンド好きなら誰もが知っているバンドまで一堂に集まりブッチャーズを演奏する。その仕上がりはいかに。
そう。吉村秀樹には吉村秀樹にしか出来ない歌心があって、それは決して万人に受け入れられる性質のものではなかったけれども、そこを理解した上で「歌うブッチャーズ」を解釈した好演奏が並んだ。幸せなことだ。
オリジナルを聴くにはまだ耳と心が辛いと言っているけれども、こうやって誰かの音を通して聴かされるブッチャーズにならば、何も抵抗なく接することが出来る。いや、むしろ悲しみが増幅されてしまう曲もあるくらいだ。
これをコンパイルしてくれた方々、ありがとう。