音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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君とのDistance / ZARD (2005)

ラストアルバムとなった11th。

全面的に大野愛果を作曲家としてフィーチャー。その他数曲にも織田哲郎、栗林誠一郎といった、ZARD黄金期を支えた面々が並び、アレンジも葉山たけしが中心となって組み上げられている1枚。

前作での第2期ZARDの形作りがうまくハマったのか、今作も非常に丁寧に作られている印象。全盛期のZARDに続いて、佳曲とほどよいバランスのアレンジが並ぶ仕上がりになっているのでは。何よりも聴いていて不穏な空気がほとんど感じられない。ZARD=爽やかという路線を思い出したかのような曲が並ぶ。どことなく懐かしさが感じられるのは、その曲・音作りが功を奏しているからなのかもしれない。またField of Viewに歌詞を提供した「Last Good-bye」が多々納好夫作品と言うこともあってか、ビーイング全盛期の香りもいいスパイスとして漂っている印象がある。

もし冒険時代のZARDが続いたまま坂井泉水が逝去していたとしたら、ZARDという存在は過去の人として報われずに終わっていたのかもしれないが、こういった優しい空気の作品(一方、全盛期は瑞々しいと表現出来る)を残してZARDが終わったと言うことで、聴いているこちら側も安心してマラソンを終えることが出来た。

結論。ZARDというブランドを取り巻く環境はその時々によって大きく変わっていったけれども、何が起きても坂井泉水がいる限りその芯は失わなわれなかった。J-POPという枠組みの中において、90年代を代表する女性ボーカリストとしてこの瑞々しくも優しい表現力は決して忘れられることはないだろう。