音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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VOCALIST / 徳永英明 (2005)

入眠時に愛用している『VOCALIST』シリーズ。逆に言えば入眠時にしか聴かないので、全体を通して聴いたことがほとんどなかった。なので、ふとブックオフに立ち寄った際に棚を漁ってみた。これは280円也。さすがによく売れたアルバムだし、もう9年前の作品だしね。こんなものでしょう。

発売当時からiTunesには入っていたアルバムだけれども、ミュージシャンズクレジットがなかったので誰が演奏しているのか全く知らずに聴いていた。今回購入したことで、じっくりとクレジットを見ると、もう100%安心して任せられるミュージシャンで固められていて、そこに坂本昌之の「手堅い」アレンジが加わって、完璧なカバーアルバムが完成したのだと再認識および感心。

僕はアンチカバーアルバム派の考えというものがよくわからないので、どう語ったら良いのかが分からないのだけれども、カバーと言う行為は楽曲の良さを改めて引き出す素晴らしい行為だと思うのだよね。もちろん中には冒涜としか言いようのないカバーが存在するのも事実だけれども、徳永英明のこのシリーズに関しては、男性の声で女性の歌の魅力をどこまで引き出すことができるかという大冒険が前提としてしっかりとあり、その先に成功があったように思える。

さらにはこのシリーズのヒットを受けて、数多の玉石混淆カバーアルバムが世間に出回ったことを指摘する声もあるけれども、それは徳永英明の罪ではない。カバーした人たちが、原曲に対する愛情、解釈が圧倒的に足りなかっただけの話だ。そして先ほど指摘したように、演奏を100%任せられるミュージシャンを揃えることが出来ていたか?という疑問もある。そういう点でもやはり徳永英明は完璧に周囲を固めてこのシリーズに臨んだと言っていい。

世間的な功罪などはここでは些末な問題だ。徳永英明によるこのカバーシリーズは、完璧に作り上げられ、その結果が成功だったということだ。ま、徳永英明に対する好き嫌いは僕ではどうにも出来ない問題なので、ここでは無視しますが。