音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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THANKS FOR LISTENING / TSUTCHIE (2002)

5年間忘れ去られていた、12年前のアルバム。

ところが、この夜に向けた徹底的なチルアウト感と、ゲストアーティストの絶妙な配置感は、今風のアルバムと何の遜色もない。いやむしろこのアルバム以降、こんなアルバムに出会ったことがない。12年間、これほどクールなアルバムが自分の耳に入ってこなかったということだ。ゲストを迎えながらも人間味はどこまでも徹底的に排除して、非常に冷たく機械のように仕上げた作風は特出するものがある。12年掛けてようやく今に辿り着いた、不思議な作品とも言える。iTunesの2軍に放り投げていたことが悔やまれる。いや、時間的に熟成した今再会したからこそ、この作品の良さが逆に引き立つとも言えるのか。

さて、思うにこのアルバムの不幸は、CCCDでリリースされたあの時期の作品だったことにあるのでは、と思い至った。中古で出回るにしても、CCCDでは誰も手を出さないだろう。発売ながらにして凍結されたアルバムなのだ。

もったいない。もったいないけれども、CCCDでは手も足も出ない。現行のドライブではCCCDは全く問題なくリッピング出来ると言うけれども、気分的にあまりよろしいものはないだろう。それでも、繰り返すがこの12年間聴いたことのない機械的なクールネスを欲するのであれば、恐らく安く売り飛ばされているだろうこの作品を手にするのはお得な話だ。