非常に重厚なベートーヴェン。こんなにどっしりとした演奏はこれまで聴いたことがなかった。60年前の解釈とはこう言う物だったのかと、思わずその歴史の長さに思いを馳せてしまったほど。
重厚ではあるが鈍重ではなく。演奏は滔々と流れる大河のように進んでいく。自分がクラシックを聴くようになってから体験しているベートーヴェンのそのテンポとは世界も解釈も全く異なる。録音の古典となりかけているかもしれない60年前のそれと、現代のそれとの良し悪しを論じるつもりはない。ベートーヴェン一つ取っても、これだけのレンジの広い世界が存在するのだと、ただただ頭を垂れて地面にひれ伏すのみですよ。クラシックはかように奥が深いものだったのか、とね。