もう大御所の中の大御所であるはずなのに、この新鮮さはどこからやって来るのだろうか。
CDを入手し、改めてじっくりと聴き進めていくと、出だしからその新鮮さの応酬でどこまでも若々しさに満ちているのを実感させられる。
最早中年になってしまった自分から見ると、若々しさなるものはいてもたってもいられないもどかしい青さにも繋がりがちなものでもあるけれども、このバンドはさすがにその段階からは既に脱している。若さという括りを持ち続けていながら解脱することでこのレベルに至るのだろうか。
自分の中に眠っていた若さの芽がまた再び息を吹き返してくるような、そんな瑞々しさにあふれた作品。
それは生命力とたとえてもいい。命を巻き戻し、取り戻し、また再び腰を上げようという気にさせるエネルギーの源泉でもあるかのような。それは決してこんこんと湧き出る泉ではないけれども、枯れていたと思いこんでいた中に、まだわずかながらでも水滴が溜まっていくような、その背中を押してくれるような力に満ちあふれた幸せな世界。
このバンドが日本にいてくれて本当によかった。今になってようやくそう思えるようになった、それほどまでに大きく幸せなパワーがここにある。