コリン・デイヴィスのシベリウスはLSOとの演奏を2組持っていたが、それらからは何か深い感銘を受けることもなく、そこには淡々としたシベリウスが紡がれていると言う印象でこれまでずっと来ていた。
そのことから、コリン・デイヴィスはシベリウスにおいて自分との相性は今ひとつなのではないかと思うようになっていた。
ところがコリン・デイヴィスが手がけたシベリウスの中で、最も録音の古いこのボストン響との演奏を聴いて、そのイメージは一変された。
実に深い。
じっくりと煮込んだかのような滋味深い演奏。シベリウスと真剣に対峙した上で臨んだかのような繊細さと力強さ、そして思慮深さ。
「濃い」という表現も出来るだろうが、シベリウスの演奏において何かしらの濃さを求める自分としては、この上ない表現である。
シベリウスのライブラリも気がつくと随分と増えてしまったが、決定盤の中の1組に加わる、そのような演奏がここでは展開されていた。
今後の聴き込みが楽しみなシベリウスの交響曲全集が、また一つ手元に増えたことになる。
嬉しい悲鳴。