タワレコからシティ・ポップのオススメメールが来ていたので、文章で引っかかったアルバムを聴いてみたのだけれども、トラックは成熟していても、ボーカルがあまりにも「歌えるから歌ってみた」と言った感で、味も素っ気もなく、トータルとしてどうにもこうにも所詮は10年代のシティ・ポップか、とガッカリした瞬間に思い出したのがキリンジだったと言う。
そこでこのアルバムを引っ張り出して聴いてみたら、あら、なんて素敵なんでしょう。これが90年代のシティ・ポップだよ、AORだよ、と今頃になってその根底に流れているものが見えてきたという体たらく。
もう20年以上もつかず離れずで聴いているアルバムだと言うのに、その魅力の理由が分かっていなかったのだな。
全体的に漂うヴィンテージ臭。それは古めかしいものではなく、どこか懐かしい空気として受け入れられるもの。枯れた雰囲気が漂うとでも言い換えればいいだろうか。
しばし心地よい時間を過ごすことが出来たのでありました。