夏の午睡ならば、白昼夢
走馬灯は確かな記憶か想像か
風にからからと回る洗濯物
傾いた陽が部屋に木漏れ日を欺く
眼鏡の裏から差し込む陽射し
弱々しく僕を透き通す
真実を開く光
何も隠していない嘘
それは好奇心
たまたまの若さ
あの時の若さ
室外機が立てる音
目覚めても
無い
傍らに一握の愛
ひとかけら指の間から床へと落ちて行く
塵
部屋を舞う埃
光の間にだけ生を受け
消えた
何も契ってはいない
目覚めない
結ばれない
滴り落ちたそれ
偽り
書き残した文字
時とともに消えない言葉
真空の押し花
朽ちない悲しみ
巡り続ける秒針
回り続ける灯台
目指してはいなかった
戯れでしかなかった
真実と事実と過去
隠しきれなかった
棘が生えてしまった
花は咲かなかった
夏の午睡ならば、汗
走馬灯が呼び起こした狂い事が
荊の痕を肌に