アシュケナージはチャイコフスキーを弾いていないのか?
との疑問から始まり、このディスクを探し当てた。アシュケナージ26歳の演奏。
自分が知っているアシュケナージの演奏とは随分と印象が異なり、才気ほとばしる情熱家としてのピアニストがここにいた。
この時代のソビエト出身のピアニストに共通するかのような、タッチの強さと硬さが存在しており、演奏が非常に力強い。
もちろん柔らかく聴かせるパートや、自分が好んでいるコロコロと指が回るような演奏もここにはあるのだが、それ以上に「ザ・ソビエト」と言った特徴があることに驚かされた。
そこは驚いてはいけないところなのかもしれないが、「お国柄」と言うものがクラシックにはこのようにして存在するのだと実感させられた。
これは聴いておいて正解。クラシックと国と時代。その関係性について今後、諸々考える機会を与えられたと言える。