ああ、ようやくか。
GRAPEVINEがこれまでの全てのしがらみから解放された。完全に自分たちがやりたいようにやりたいことをやっていると、これでもかこれでもかと、展開される楽曲一つ一つに訴えかけてくる。
瞬間最大風速的なGRAPEVINE病に罹っていた若かりし頃の自分が入れ込んでいた曲たちにすがっていたことも、また自分がこのバンドに課したしがらみであり、そこからの解放を望んでいたようで望んでいやしなかった。
それでいてどっちつかずのサウンドを展開していたGRAPEVINEの存在に対して、やはりどっちつかずだねと薄笑いを浮かべていた自分もいた。
そう、今ならはっきり言える、全てが中途半端だったのだ。自分も、またバンドも。
そして今作、完全に吹っ切れた。彼らは彼らの好きなようにやり、自分は自分の主観でそれを楽しめている。
しかしこの尖り方は何だろう。彼らは一体もう何年間このバンドを継続させてきたのだろう。それでいて今、このサウンドが繰り広げられるとは。
単純にあっぱれなどと言えるほど、僕らは単純ではない。転がりもんどり打って、ようやくここまで来たのだ。
音楽とともに「生きていて良かった」と言える瞬間にまた立ち会えた。そこに至るまでの紆余曲折は全て自分が飲み込んでいる。同様にバンドもそうなのだろう。
大人になった。大人になれた。そう言うことなのだろう。