音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

The New Standard / Herbie Hancock (1996/2016 SHM-CD)

タイトルの「Standard」とはいわゆる往年のスタンダードナンバーを指しているのではなく、「New」と冠しているように、現代のロック・ポップスのヒット曲や有名曲を、ピアニスト、ハービー・ハンコックをはじめ、錚々たるメンバーがジャズとして取り上げたアルバム。

原曲が持つメロディラインから、丁々発止のアドリブ・ソロまで、その演奏の熱量は圧巻。見事なまでにジャズとしての調理を行い、ジャンルの換骨奪胎に成功している。

個人的な聴き所はリーダーのハンコックではなく、サックスのマイケル・ブレッカー。メインを張っても、バイプレーヤーに回っても、その音の存在感には圧倒的なものがあり、聴けば聴くほどに、若くして惜しい人を亡くしたと、寂寞たる思いを強くする。

もちろん、そのような自分の勝手な思いを差し引き、純粋に素晴らしい演奏として楽しむことが出来る。

アレンジ、演奏のクオリティの高さはもちろんのこと、ジャズの面白味を分かりやすく提供してくれる素敵な作品としても強くお勧め出来る作品。キャッチーな原曲が下敷きとして存在するので、ジャズへのイントロダクションアルバムとしても、高次元に機能してくれるはず。

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SHM-CDとしての本アルバムは、リード楽器のプレゼンスがより明瞭になり、バックもはっきりとした輪郭を持ち、時折ハッとさせられる音の張り出しを見せてくれる。

これが廉価盤として購入出来る世の中なのだから、CDの価値、価格など、もうあって無いようなものですな。

ニュー・スタンダード+1

【某所より転載】