このアルバム、本気だ。
たまたまe-onkyoのチャートを見たのですよ。そこの1位に何やらカヴァーアルバムが。調べてみると、雨宮天と言う、何度かその名を見たことがある、自分にとってはその程度の声優…
え?声優が昭和歌謡のカヴァー???
深夜の眠気が吹き飛んだ。
それは一体どう言う経緯なのだかと思って調べると、本人が大の歌謡曲好きであるとのこと。
それでは一発聴いてみましょうよ、どんなもんなのよ?と、Amazon Music HDにて試聴してみると。
ぶっ飛んだ。
ぶっ飛んだ後に、一気に結論が出た。これは「アリ」だ。まったくもってけしからんほどに「アリ」だ。
楽曲が有する世界観を演じ、それを歌うことは歌謡曲の特徴の一つなのだからして、演じることが職業である声優がそこに挑むのは極めて正解ではないかと。
その正解を間違いなく導くために、アレンジは極めて原曲へ近づけ、歌唱そのものも自らの味をしっかりと保ちつつも、原曲が持つその「演技力」をスパイスとしてふりかけ、そして現代に提示している。
これはノーマークにしていた自分の過失だわ。いや、早めにキャッチアップ出来ていてよかった。これは面白い。面白いですよ。実に興味深い。
原曲のオリジナルシンガーが持っているその旨味にはもちろん届きません。それは声優だからというのではなく、選曲が挑戦的だからであります。「この曲にはあの声」と言ったイメージが完全に刷り込まれている楽曲たちばかりなのだから。
それでもそれらの曲から逃げずに直球勝負を仕掛けているあたりが、実に痛快。
このアルバムを素通りしかけているのであれば、「フライディ・チャイナタウン」と「レイニーブル-」が白眉なので、ぜひその2曲だけでも試聴していただければ、この『声優・ミーツ・昭和歌謡』の面白味の片鱗だけでも感じていただけるのではないかと。
重ね重ね、本当にこれは面白い。
音源はもちろんお買い上げ。今晩、もう一巡させます。