初めて聴く「第0番」。
ブルックナーらしい抽象的な音の世界観と、その満ち引きの連続性とが、聴き手である自分の音へ向かう意識を遙か彼岸にいざなう。
「第0番」と冠されているが、ライナーにも記述されていたように、これはブルックナーの作曲におけるコンテクストにしっかりと組み込まれる作品であることを理解することが出来た。
音がストーリーの全てを語るのではなく、その行間を聴き手が読み取る、もしくは想像にて作り出せる、そのレンジの広さこそがブルックナーであると考えている以上、この理解から至る「第0番」への解釈はあながち間違いではないだろうとも。
それにしてもパーヴォ・ヤルヴィは、その抽象の聴かせ方が上手い。そこにあるべき輪郭をしかるべき位置で提示しているからこそ、ブルックナー作品の持つ自由度に道標を与えてくれるのだから。