このアルバムのリマスタが出るとなれば、それはもちろん聴かない理由など無く。
この名盤が名手Ted Jensenによるリマスタで登場とのことで期待を込めて聴けば、その期待を裏切ることのない、いや、それ以上の上質な結果をもってリリースして下さいました。
元々自分が語るまでもなく素晴らしく録音のよいアルバムで、これまで何度も聴いてはいたのだけれども、それでもどっぷりと漬かって聴いていたかと問われるとやや疑問な所もあり。やはりどこかオーディオ鑑賞的観点で捉えていたのだろうなと。
本リマスタでは、かつてオリジナルでそうさせていた原因も判明した次第。
オリジナルはどこか澄まし顔で歌うノラ・ジョーンズがそこにいたのですね。リマスタではより人間味を帯びた音作りとなっていて、肉感的かつ量感的に耳に迫ってくるものがあります。
ドラスティックに音が差し替わったわけではなく、それこそTed Jensenのマジックとも言うべき技術で20年分のメイキャップが改められたとでも表現すれば、少しは自分が感じた印象に近づけるのかもしれません。
このリマスタはもちろん鑑賞目的でも使えますし、より音楽として楽しむ目的でも十分に今後は使えるだろうと確信しました。それはもしかすると、近作でのノラ・ジョーンズが持ちつつあった、より体温の高い音楽としての表現力が、20年の時を経て掘り起こされたとも言えるのかもしれません。
これは実に素晴らしいリマスタ作品であります。