Disc4を聴いた。そろそろ真面目に何かをメモっておきますかね。
今回のこの5枚組ベスト盤は、各ディスク開幕の1曲がその盤の世界観を物語っているところが親切な作りであり、また興味深いことであるな、と。
ゴシックな聖歌風のイントロから導き出される耽美な「JUPITER」で幕を開けるこのディスクは、さながらこの盤がそのような曲世界の集合であることを象徴しているのではないかと。その流れで「ドレス」を持ってきてこのコンパイルをネットリと盛り上げていくところもまた面白い。
BPMをぐっと落とした実に聴きごたえのあるボリューミーな楽曲が並び、勢いで聴かせるだけではないバンドのキャラクターが浮き彫りにされているのもまた興味深いことであり。
どのようなアーティストであれ、ベスト盤は得てして幕の内弁当的になりがちなのだけれども、今回は35周年を記念した5枚組と言うマージンを持っていることもあってか、バンドが作り上げてきた各楽曲のキャラクターを掘り下げることに成功しているのにも感心するのであって。
ディスクごとにリマスタリングエンジニアを世界各地から別々に立てていることもあってか、どれもこれも音質の密度が非常に高く、統一感を持って作られているあたりも聴き手である自分にとってはうれしいこと。
35年分の歴史をこのような形でパッケージし、適切なお色直しを施した上で再提示する。それは長年のファンに対するサービスとしても理想的な形であるだろうし、自分のようにつかず離れずで聴いてきた一リスナーにとっても新発見の多い、過去をもう一度遡ってみようかと思わせる作品集としてしっかりと機能している。