音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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Piazzolla Stories / Lucienne Renaudin Vary (2021 48/24)

フランスは新進気鋭のトランペッター、ルシエンヌ・ルノダン=ヴァリによる、ピアソラ楽曲を中心としたオーケストラアレンジの楽曲集。

e-onkyoの今月のセール品を眺めていたら目が止まったのです。この方のジャケット写真は過去に何度か目にして気には止めていたのですが、これまで試聴すらしておらず。

これも何かの縁だと思いSpotifyでまずは試聴をしてみると…買いました。気がついたら購入しておりました。

生粋かつ純粋な昭和生まれの日本人である私にとっては「ああ、これは刑事物ドラマの仮想テーマソング集だ!」と瞬時に合点が行ったのです。ピアソラ云々を全くもって無視して。

過去のいかなる刑事物ドラマのテーマソングよりも格段にそれらしいテーマソングの応酬。そしてトランペットの何とも真っ直ぐかつサウダージ感を帯びた音色が、その雰囲気にさらに拍車をかける。刑事物音楽をそれとして強く印象づけていたのはトランペットの音色だったのかと、今さらのように気付かされたわけです。いや、ここで聴くことの出来るその音色が刑事物なのです。

興奮し過ぎて文章が破綻してきた。

これを書きながらも本作品を聴いているのですが、繰り出される楽曲と言う楽曲が本当にそれなのでニヤつきが止まりません。大都会の西部で太陽に向かって吠えたくもなりますよ、これは。

昭和生まれはかくして気がつかぬうちにテレビ音楽に毒されていたのですよ。世界中どこを探しても、これを聴いて「ああ、刑事物!」と思えるのは日本人だけでしょう。これが日本人にインプリンティングされた後付けDNAの為せる技。

と、ここまで刑事物刑事物と連呼しておりますが、そのような邪なる勝手な印象を取り除いても、クラシカルにむせかえるほどの哀愁感漂うトランペットの音色を味わえる素敵な作品ではないかと。モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団の手厚いサポートを受けてルシエンヌが熱演しております。

バッハとパガニーニのヴァイオリン曲までをもトランペットにて演奏してしまう凄みもまたこのアルバムを面白く聴かせてくれる一環かと。

え、1999年生まれなのですか、この方。もう様々な意味で絶句。

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