音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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CEREMONY / King Gnu (2020 Spotify)

Uruの「白日」カヴァーを聴いていたら、このアルバムを再度聴き直してもいい機会なのではと思うに至りSpotifyから再生。頑なにこの音源は手元に置いていなかったのだよね。

理由はおそらく過去に書いているだろうけれども、その音作りが苦手だったのだよね。様々な音が詰まり、メロディもそこに拍車をかけてたたみ掛ける膨大な音の情報量についていけなかった。

今ならばそれらのネックは全てクリアになっているのではないかな、とね。

結果、実に聴きごたえのあるハードなアルバムなのだけれども、その一方で不思議と聴きやすい作品でもあると。ある意味において両極端でありながら、それらが音の中で混在している、絶妙にブレンドされているのだね。

この作品が幅広く受け入れられたその背景には、ロックサウンドの画一化と固定化があるのではないかとも考えてみた次第。

ある程度形の定まったロック、それも邦楽ロックという枠において、そこに収まることはある意味安全な生存方法ではあるけれども、やがてリスナーの成長と共に飽きられてしまうと言う危険性は常にはらんでいると。それを保ちつつも抜け出す、単一なギターロックに収まらない新しいロックの形があるのではないかと模索する存在が多数あることもまた事実。

その中で前述のハードさ、それはハードボイルドな硬さと表現してもよいか、と聴きやすさのバランスを取って提示した存在がKing Gnuであったのではないかと。歌えるロックでもありながら考えさせるロックでもある、そのロックの知的能力の高さが表れている存在なのではないかとも。

言葉をこねくり回したけれども、2020年代のロックがこれだ、と化石ロック雑誌観点で聴いても格好よい作品でありました。自分の耳が本当についていけなかっただけの話でしたね。少し後追いしてみてもよさそうだ。

CEREMONY (通常盤)