音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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Hiromi Go ALL TIME BEST BOX [Disc 3] / 郷ひろみ (2022 44.1/16)

圧巻の郷ひろみワールド、5枚組ベストの3枚目。

聴かせます、どこまでも聴かせてくれます。

この時期はバラード3部作を中心としたアダルトな雰囲気漂う楽曲や、見事な第一線っぷりを世間に再認識させた「GOLDFINGER '99」と言ったエンタテインメント路線まで、とにかくシンガー郷ひろみの円熟味あふれる世界の集合体となっていました。

バラード3部作に関しては、これまでずっと1作目の「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」一択だった自分なのですが、このような形で郷ひろみの活動をフルに俯瞰していくと、どの楽曲もあるべき姿としてそこに収まっているのを実感させられたのです。

とにかく切ないのですよ。大人である男性の一方的な恋愛感情、その恋慕模様を歌い上げる姿が今となってはたまらなく切なく響く。これが大人の世界なのかと、その粋をこれでもかと見せつけられたような気分にさせられる。聴き手である自分がそれだけ歳を重ねてきたのだと代弁してもらっているような気にも。

このバラード3部作で相当な自信と確信を持ったのか、その後の楽曲もぐっとアダルトな雰囲気をまとい、強く迫り来るものがあります。シングル曲の存在としてはやや小ぶりかもしれないのだけれども、いやはやこれを小ぶりと感じさせる郷ひろみの懐の広さに改めて感じ入る次第。

郷ひろみは今何をしているのだろうかと思えるほどに、自分の耳に楽曲が届いてこなかった時期がこのディスクにあたるのですが、これほどまでに強烈にアダルトな路線の力を蓄えていたとは。なるほど確かにリアルタイムでは自分には響かなかったわけだ。自分がまだ大人になれていなかったのだから。

個人的なツボとしては「く・せ・に・な・る」の存在。今改めて聴いてみると、バラードで培ったアダルト路線なボーカリゼーションをアップテンポなポップスに乗せるとどうなるか、それを形にしてみせた意欲作だったのではないかと。これは作曲が横山輝一ですね。アレンジはCHOKKAKU。当時の売れ線アーティスト、アレンジャーを起用しているところにも、その意気込みを感じさせられたのです。

そして「GOLDFINGER '99」で終わるこの構成がニクい。エンターテイナー郷ひろみを世間に印象づけたのと同様に、このディスクにおいても強い引きを持って幕を下ろすのだから。

Hiromi Go ALL TIME BEST BOX (完全生産限定盤) (特典なし)