なんだか急に稲垣潤一が聴きたくなりまして。
ここしばらくの間、頭の中で「オーシャン・ブルー」が回り出すことが多くなっていたのです。新春カラオケ大会でも「ドラマティック・レイン」を歌ってしまったほどに、急に稲垣潤一の存在感が大きくなってきたのです。過去には全くなかった現象。
ライト・メロウ寄りのシティ・ポップを自然な流れで聴けるようになり、そこから往年の邦楽AORもたしなめるようになってきたからでしょうか。
そのよさがジワジワ来ているのかもしれません。ウェットでアーバンな、そう、バブル前後の空気感。煌びやかなのだけれども気怠い大人の世界。当時の自分はまだまだ子どもでしたから、その時代と寝た空気、感覚を共有することもなかったのですね。
それらを追体験的に聴いているわけでもありません。むしろ新鮮味を持って聴いております。自分の中にはなかったポップスへのアプローチ。ずっと聴いている方からは何を今さらと言われそうですが、ソフト、メロウな感覚を少しビターな味と共に飲み込んでいく質感が素敵であるとも言えましょうか。
前述の「オーシャン・ブルー」がユーミンの、「バチェラー・ガール」が大滝詠一のペンによるものであることを考えると、稲垣潤一が自分の好みへと刺さってきたことにも道筋がしっかりとあるようにも思えるのです。
しかし稲垣潤一をしっかりと聴いてみようと思ったそもそもの理由とは何であるかとたぐっていくと、昨年の秋頃にたまたま目に入った「ドラマティック・レイン」をドラムを叩きながら歌う姿を見たことによるのでしょう。小学生時分に何となくの感覚で「よい曲だ」と感じていた存在に対して、改めて名曲だと認識し直したことに起因するのでしょう。
そう言えばこの曲は筒美京平の手によるものでした。諸々において再発見と再認識、再びの邂逅を重ねていく旅に入り始めているのですよ、私の人生も。あと1ヶ月ほどで40代最後の歳に入りますからね。