音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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Blue / Diana Panton (2022/2023 DSD128)

冬の最中。夜は落ちる。

季節柄なのか、日照時間が少なくなることによる脳内物質の低下が引き起こすのか。昨年もこの時期から大きく落ちていた。

あの時はバースデー・ブルーなどとうそぶいていたが、どうやらこの気分の落ち込み方は本物のようであり。

気が滅入る、ともまた異なる。あれは瞬間的に訪れるものであって、落ち込みは期間単位で長く続く。

かと思えば10分やそこら日に当たっているだけで、爆発的に気分が向上したりもする。季節的な双極、対比による相対的な落ち込み、なのだろうか。

不幸なことに夜は長い。いや、夜が深い。それが冬。身体の機能が落ち、それに伴い脳も沈んでいく。そうであればあるほどに夜の深さが身に染みる。全身が夜へと溶け合っていく。夜の重力にとらわれる。

一方でそれを不快とは思わない自分もいる。季節が自分を受け入れてくれるような感覚。真夏のようにお互いが否定しあうこともない。

頭の中は思うこと、考えることで満たされる。思索といえるほど気取ったものではないが、物思いに耽る、程度には表現してもよい。それは気力が満ちていることを現してはいないか。

落ちてはいくが、戻ってくることも出来る。それは長年の経験の末に学んだこと。だからこそ落ちてよい時にはどこまでも落ちていける。そのうちにそれにも飽きて浮上せざるを得なくなる。

2時間ほど落ちていた。音楽の力を借りて落ち、そしてその力を借りて浮き上がった。真冬の午前5時前。このようなたわ言を書ける程度には、今の自分がここにある。

やはりこれは真冬の双極。自分の中にある心の友人が季節とともに再びやって来ては、この扉を叩いているのだ。

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