音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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MoonDial / Pat Metheny (2024 96/24)

このところひどい不調でして。

単純に夏のせいだとは言い切れないバイオリズムの低迷。日々の生活は辛うじて送っているのだけれども、そこで何をしていたのかが曖昧になっている状況。仕事からの帰宅後には、照明を落とした部屋でPat Methenyの過去作をよく聴いておりました。

そのような中に届けられた彼の最新作。バリトンギター一本で奏でられる、どこを切り取ってもメセニー印な作品。

メセニーソロの演奏、その魅力は空気をコントロールする力に集約されるのではないかと思うようになっている今日この頃。ギターを用いて空気の表層から奥底までを淡色に塗り散らしていく様子が、それを流す部屋に色をつけていくように思えてくる。ギターから放たれる粒子が、空気を弾いていくとも言えるのかな。

ポップスやロックのようにリフで音を固めていくのではなく、考え抜かれた言葉を紡いでいくかのように一音一音の意味を確かめながら展開されていく様が、今の自分が陥っている思考の混沌をまとめ上げてくれる。余白のない頭の中と、音の余白にも意味を持たせる演奏とが心地よく噛み合い、物事を順序立てていくような感覚。

それでいながらも音は頭の中にとどまることなく、次々に現れては消えていく。とりとめのない思考のそれのように。

今日はそのような午前三時のメセニーでありました。この混沌からも、多分朝には復活しています。

MOONDIAL [Analog]