Qobuzで芋づる式にオススメされるままに、あれこれとジャズボーカルをザッピング。そこで耳に飛び込んできたのがこのステイシー・ケントの歌声。
その収録曲のほとんどがピアノ一本をバックに、どこかホッコリとさせられる柔らかく暖かみのあるボーカルを披露してくれる。さぞかし名のあるシンガーなのだろうと思い調べてみると、間違いなく名のあるボーカリスト様でいらっしゃいました。来日回数も多いシンガーだったのですね。
クリスタルやスモーキーといったジャズボーカルとは異なり、目の前にいるパーソナルな存在に対して自然体で歌っているかのごとくスタイル。ソフトというほど軟弱なボーカルでは決してなく、強い音楽ばかりを聴いている今日この頃において、少し荒れていた自分の耳朶(じだ)を癒しいたわるかのように染み渡っていく浸透圧の高い声。
リリースが2021年であることからするに、コロナ禍においてレコーディングされた可能性も高いですね。だからこそのピアノとボーカルのコンビネーションなのでしょうか。場合によってはリモート録音かもしれず。それだからこその優しさも見え隠れしている、と見るのは考えすぎかしら。あの時、あの空気だったからこその、求めた、求められていた音楽の空気感。
この秋は夏の延長線が終わらないかのごとく、身体もそして心も疲れている日々が続いていたので、休日初日の夜にこのような素敵なボーカリスト、作品に出逢えたことは有り難いことであります。呼吸をしているかのように自然にこれを聴いておりました。全ての細胞に染み、行き渡っていく感覚。
自分にとってこの感覚に巡り逢えることは本当に稀有で、セルフトリートメントの全てを音楽に委ねることが出来る瞬間を得ることにも繋がるのです。
