音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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空洞です / ゆらゆら帝国 (2007)

発売当時から名盤扱いされていたこともあってか、なんとなく避けて通っていた作品。ゆらゆら帝国は一度だけ友人に誘われてライブを見に行ったことがあるのだけれども、何が何だかさっぱりわからなかったという印象もあり、それが余計にこのアルバムを遠ざけていた理由に繋がっている。

で、当該アルバム。ミニマルに始まる「おはようまだやろう」から、何かが遠い音楽が繰り広げられる。それは少ない音数のせいかもしれないし、明確ではないボーカルのせいかもしれない。時折顔を除かせる管楽器が結構な存在感を発揮して、その時だけ意識が音に引き寄せられるのだけれども、またそのうちに遠ざかってしまう。そして気がつくとファイナルトラック「空洞です」。ここで音は急に姿を目の前に現し、「すわ、自分は今まで何を聴いていたんだ?何かとんでもない物を見落としていたような」という気分にさせられ、そしてまた1曲目に戻る、と。で、やはりそれでも聴き始めれば意識は遠のいてしまうという不思議な臨死体験のようなアルバム。名盤か?と問われると「好きな人にとっては名盤なんだろうねぇ」と苦虫を噛み潰したような顔で答えたくなるような、でもどこかクセになる隙を与えられているような、そんな不思議ちゃんなアルバムでございました。いい経験でした、はい。