音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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やや長文・レビュー

やや長文・レビュー

RIGHT NOW / CASIOPEA-P4 (2024 96/24)

アルバムのタイトル『RIGHT NOW』の通り、正に今のメンバーの持てる力を全て駆使して、今のCASIOPEAには勢いがあるのだとする力強い現状提示に成功しているかのよう。何よりもその勢いが空回りしていない。このメンバーでやっていくのだとする意思表示、決意…

劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro / スピッツ (2024 44.1/16)

バンドも私たちも感性の神経を剥きだしにしてこの音を研ぎ澄ますことが出来る。送り手と受け手とを直接結びつける交歓がここにはあるのだ。

モーツァルト:交響曲第35番《ハフナー》&第36番《リンツ》&第40番 / タルモ・ペルトコスキ, ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団 (2024 96/24)

2000年生まれの俊英コンダクター、タルモ・ペルトコスキとドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団によるモーツァルトの交響曲集。ドイツ・グラモフォンからのリリース。全編を通して解像度の高い、カリッとした仕上がりのモーツァルト。モーツァルトだか…

Kamereon / Susan Wong (2024 96/24)

リリースされていたことをすっかり失念しておりました。ようやく入手。香港evosoundが誇る歌姫、その一人、スーザン・ウォンの最新作。今回は日本人ミュージシャンを迎えてのアルバムとのこと。聴き始めるとこれまでの彼女のアルバムが持っていたハイファイ…

Femmes Fatales / Exit Eden (2024 Spotify)

なんとなくメタル系な気分だったので、Spotifyのプレイリスト頼みで再生してみたのです。好みか否かのジャッジを楽曲の頭1分ほどで行う、実にサブスク型な音楽の聴き方をしつつ、「ん?」と思ったのがこのグループ(バンド?)。女性3人組でメタルを演奏する…

TRUE KiSS DESTiNATiON / TRUE KiSS DESTiNATiON (1999 44.1/16)

TESTSETからの流れで肉感的な無機質を耳に流し込みたかった。小室哲哉のその後のゴシップサイドに繋がって行くユニットでもあり、なかなか音楽としては正当な評価を受けることのなかった存在だったかな。それまでのTKサウンドとしてのキャッチーさを極力排し…

このところライヴづいておりまして

5月に入ってからは、5/2 DEZOLVE@BLUES ALLEY JAPAN 5/15 COMPLEX@東京ドーム 5/20 Eliane Elias@BLUE NOTE TOKYOと観てまいりました。今月は大宮ソニックシティでもう一本ライヴを控えております。いや、一月に4本もライヴを観るなんて、何かおかしい。…

11thアルバム 記憶の図書館 / 坂本真綾 (2023 48/24)

最近、仕事の昼休みにはイヤホンをして、楽曲単位でシャッフル再生をさせていることが多く。予期せぬ楽曲が流れてくる楽しさがあるのですよ。今日はこのアルバムからの楽曲が再生されて「おや?」となったのですよね。こんなに格好よい曲があったのか、と。…

メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲&序曲「フィンガルの洞窟」&交響曲第5番 / イザベル・ファウスト, パブロ・エラス=カサド, フライブルク・バロック・オーケストラ (2017 96/24)

「ヴァイオリン協奏曲」 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、自分が語るまでもないあの有名な旋律を有した、ヴァイオリン協奏曲と名のつく作品の中ではトップクラスの知名度を持つだろう楽曲ではあるけれども、そのあまりものベタさ加減になのかなんな…

SCIENCE FICTION / 宇多田ヒカル (2024 96/24)

つい最近きら星のごとく現れたと思っていた宇多田ヒカルももう25年選手。リリーススパンが長いことから、そのキャリアの割には楽曲数を稼いでいるわけではないけれども、その分だけ楽曲毎の重さ、密度の高さには凄まじいものがあって。それが故にこれまでは…

Bars of My Life / Mummy-D (2024 48/24)

Mummy-D、濃縮還元120%。待望の、愛すべきDさん1stソロアルバム。RHYMESTERにおいては宇多丸さんよりもDさんファンの私のこと、このアルバムを待ちに待ち焦がれておりました。そして蓋を開けてみれば…冒頭の一文へ戻るわけです。どこをどう切り取ってもDさ…

Visions / Norah Jones (2024 96/24)

ノラ・ジョーンズ2024年リリースの最新作。HDtracksから音源を購入した後にタグを編集しようとしたところ、ジャンル欄に埋込まれていたのは「Pop」の文字。最早彼女は「Jazz」ではないのだね。そしてその事実が象徴するようなサウンドが展開されたのでありま…

MUSIC GREETINGS VOLUME ONE / 葛谷葉子 (1999 44.1/16 Amazon Music Unlimited)

休日の夜モードに入ってきても葛谷葉子。最新作、ベスト盤と来て、やはりオリジナルアルバムも聴かないと嘘でしょうとなり、これを。1999年発売の1stアルバム。トータルプロデュースは松尾潔。アレンジャーに名を連ねているのは松尾潔、マエストロ-T、鷺巣詩…

TOKYO TOWER / 葛谷葉子 (2022 48/24)

田中裕梨をAmazonで眺めていたら、この方のCDがサジェストされたのですよ。その昔どこかで名前を見かけたような気はするけれども、触れたことがなかったな、と。調べてみると、あの90年代末期から00年代初頭にかけてJ-POPで盛り上がっていたR&B系シンガーに…

憧憬都市 City Pop Covers / ジャンク フジヤマ (2024 48/24 Amazon Music Unlimited)

ジャンク フジヤマ初の全曲カヴァーアルバム。これまでもカヴァーを数多く、積極的に展開していたこの人のことなので、意外と言えば意外。楽曲単位でのカヴァーがメインだったのか。これまでも気が向いたときなどに聴いてきた彼のヴォーカルなのだけれども、…

鬼子母神 / 陰陽座 (2011 44.1/16)

思い出した頃に聴く陰陽座。かつてまとめて一気にレンタルした音源群ですな。放っておくとどこから聴き進めてよいものか分からなくなってくるので、コンセプトアルバムであると言うことを指標にして聴いてみた次第。これがまた格好よいんだ。得も言われぬ圧…

かもめのように / 研ナオコ (1977/2023 44.1/16)

本日のチルアウト仕切り直し。LPのA面にあたる前半が中島みゆきによる提供曲で、B面にあたる後半が杉本眞人による提供曲。どれもこれも名曲過ぎて恐ろしい。全盛期の研ナオコ恐るべし。CD化されていなかったオリジナルアルバムにこのような名盤があるとはね…

手紙 〜拝啓 十五の君へ〜 / アンジェラ・アキ (2008 44.1/16)

『THE FIRST TAKE』で久しぶりに画面の中で歌っているアンジェラ・アキを見た。イヤホンで彼女の弾き語りと学生によるコーラスを聴き、目頭が熱くなると同時に思った。この曲が世に広まっていたあの頃、私は30代の半ば。今思えば人生の最も深くて長いトンネ…

CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991- / TM NETWORK (1988/2024 Hybrid SACD)

辛抱たまらずに買ってしまった。TM NETWORK『CAROL』ステレオサウンドによるハイブリッドSACD、2024年盤。仕事から帰ってくるなり、到着したディスクをいそいそとセットして再生。出てきた音に口をぽかーんと開けながらも集中して聴くこと一時間。凄いものが…

シベリウス:交響曲第1番 / パーヴォ・ヤルヴィ, パリ管弦楽団 (2018 DSD64)

第一楽章、いかにもヤルヴィの指揮らしいティンパニの咆吼に対し、ストレートに大地の鳴動を想像させられてみたり。オーケストラをフルレンジに駆使する演奏に一瞬雑味めいたものをおぼえたのも事実なのだけれども、このスケール感で奏でられるシベリウスと…

ベートーヴェン:交響曲第3番~第6番 / レナード・バーンスタイン, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1980/2020 192/24)

バーンスタインによるベートーヴェンの交響曲をこれまで聴いてこなかった。本全集がHDtracksでディスカウントされていたこともあって、ひょいっと購入。とりあえずの所を聴いてみた。以下、そのインプレッション。バーンスタインはどこにも属していないかの…

ANTENNA / Mrs. GREEN APPLE (2023 44.1/16)

昨年末から自分の中で急上昇しているMrs. GREEN APPLE。それまでも何度か挑戦してはいたのですが、どうしてもアルバム単位で聴き通すことが出来なかったのです。ロックバンドとして捉えていたので、その過剰とも言えるポップネスがどうにも受け容れがたく。…

DOROTHY / 鬼束ちひろ (2009 44.1/16)

ぼんやりと過去ログを漁っていたら、たまたまこのアルバムについて熱く語っていた過去の自分に遭遇した。10年ほど前の話。そして「傑作、傑作」と語っていながらも、何がそう思うに至ったのかの記述がない、相変わらずの自分がそこにいた。それならば今のモ…

Gift for Fanks / TM NETWORK (1987/2024 Hybrid SACD)

1987年にレコードでもなくカセットでもなくCDのみとして発売された本コンピレーション。2024年、SACDとしてリマスタ再発。フォーマットを変えてのリリースは初めてとなるこのコンピレーション。ステレオサウンドからのまさかのSACDリリースと聞いて、一瞬た…

replica / Vaundy (2023 48/24 Amazon Music Unlimited)

変幻自在に皮膚の色を変えるカメレオンのごとくのボーカルスタイル。それはVaundyなりの挑戦であり、同時にリスナーへの挑戦状なのではないかと。2ndアルバムにして「私はこう言った者です」と完全体を提示する力は十分にあっただろうに、それを潔しとしない…

ROUNDABOUT / キタニタツヤ (2024 96/24 Amazon Music Unlimited)

青い才能たちの爆発力が凄まじい2020年代ですね。キタニタツヤは昨年末の紅白歌合戦で初めて目にして、「こりゃまた…」と驚いた才能の一人であります。私にとって、今の今まで失われていた2020年代のJ-POPを追いかけているここ数ヶ月ではありますが、キタニ…

1STST / TESTSET (2023 96/24 Amazon Music Unlimited)

TESTSET、1stアルバム。経緯は複雑にしてあれど、METAFIVEからの発展的スピンオフと捉えた。そこから取り出した上澄みには、腰に響くかのような研ぎ澄まされた線の太さがあった。そのような二律背反がここに成立している。だからこそプリミティヴに、ダイレ…

三山ひろしスペシャルコンサート2023「挑戦!ひとり大忠臣蔵」@明治座

日本の年末恒例演目「忠臣蔵」。三波春夫が描き上げた歌謡浪曲「大忠臣蔵」を、現代に歌謡浪曲を伝える三山ひろしが演じると言うことで、これは見ておくべきだろうとチケットを入手しました。明治座公演なので、歌謡ショーの第一幕とメインの第二幕の構成。…

THE GREATEST UNKNOWN / King Gnu (2023 48/24)

King Gnu、2023年最新アルバム。このバンドに対し、自分にとって取っつきの悪い、どこか据わりの悪い印象を覚えていた理由は、このバンドが得意としているだろうその不協和音的響き、もしくは音としての居心地の悪さをアンサンブルの中に落とし込む高度な技…

STYLE / LUNA SEA (2023 96/24)

オリジナル1996年発売。5作目のオリジナルスタジオレコーディングアルバムのリメイク。先述の『MOTHER』から約1年半のスパンを置き、当時届けられた作品。耽美な世界観が先行していた前者に対し、よりソリッドな姿勢がバンドとしての孤高感を極めることへと…