やや長文・レビュー
Mummy-D、濃縮還元120%。待望の、愛すべきDさん1stソロアルバム。RHYMESTERにおいては宇多丸さんよりもDさんファンの私のこと、このアルバムを待ちに待ち焦がれておりました。そして蓋を開けてみれば…冒頭の一文へ戻るわけです。どこをどう切り取ってもDさ…
ノラ・ジョーンズ2024年リリースの最新作。HDtracksから音源を購入した後にタグを編集しようとしたところ、ジャンル欄に埋込まれていたのは「Pop」の文字。最早彼女は「Jazz」ではないのだね。そしてその事実が象徴するようなサウンドが展開されたのでありま…
休日の夜モードに入ってきても葛谷葉子。最新作、ベスト盤と来て、やはりオリジナルアルバムも聴かないと嘘でしょうとなり、これを。1999年発売の1stアルバム。トータルプロデュースは松尾潔。アレンジャーに名を連ねているのは松尾潔、マエストロ-T、鷺巣詩…
田中裕梨をAmazonで眺めていたら、この方のCDがサジェストされたのですよ。その昔どこかで名前を見かけたような気はするけれども、触れたことがなかったな、と。調べてみると、あの90年代末期から00年代初頭にかけてJ-POPで盛り上がっていたR&B系シンガーに…
ジャンク フジヤマ初の全曲カヴァーアルバム。これまでもカヴァーを数多く、積極的に展開していたこの人のことなので、意外と言えば意外。楽曲単位でのカヴァーがメインだったのか。これまでも気が向いたときなどに聴いてきた彼のヴォーカルなのだけれども、…
思い出した頃に聴く陰陽座。かつてまとめて一気にレンタルした音源群ですな。放っておくとどこから聴き進めてよいものか分からなくなってくるので、コンセプトアルバムであると言うことを指標にして聴いてみた次第。これがまた格好よいんだ。得も言われぬ圧…
本日のチルアウト仕切り直し。LPのA面にあたる前半が中島みゆきによる提供曲で、B面にあたる後半が杉本眞人による提供曲。どれもこれも名曲過ぎて恐ろしい。全盛期の研ナオコ恐るべし。CD化されていなかったオリジナルアルバムにこのような名盤があるとはね…
『THE FIRST TAKE』で久しぶりに画面の中で歌っているアンジェラ・アキを見た。イヤホンで彼女の弾き語りと学生によるコーラスを聴き、目頭が熱くなると同時に思った。この曲が世に広まっていたあの頃、私は30代の半ば。今思えば人生の最も深くて長いトンネ…
辛抱たまらずに買ってしまった。TM NETWORK『CAROL』ステレオサウンドによるハイブリッドSACD、2024年盤。仕事から帰ってくるなり、到着したディスクをいそいそとセットして再生。出てきた音に口をぽかーんと開けながらも集中して聴くこと一時間。凄いものが…
第一楽章、いかにもヤルヴィの指揮らしいティンパニの咆吼に対し、ストレートに大地の鳴動を想像させられてみたり。オーケストラをフルレンジに駆使する演奏に一瞬雑味めいたものをおぼえたのも事実なのだけれども、このスケール感で奏でられるシベリウスと…
バーンスタインによるベートーヴェンの交響曲をこれまで聴いてこなかった。本全集がHDtracksでディスカウントされていたこともあって、ひょいっと購入。とりあえずの所を聴いてみた。以下、そのインプレッション。バーンスタインはどこにも属していないかの…
昨年末から自分の中で急上昇しているMrs. GREEN APPLE。それまでも何度か挑戦してはいたのですが、どうしてもアルバム単位で聴き通すことが出来なかったのです。ロックバンドとして捉えていたので、その過剰とも言えるポップネスがどうにも受け容れがたく。…
ぼんやりと過去ログを漁っていたら、たまたまこのアルバムについて熱く語っていた過去の自分に遭遇した。10年ほど前の話。そして「傑作、傑作」と語っていながらも、何がそう思うに至ったのかの記述がない、相変わらずの自分がそこにいた。それならば今のモ…
1987年にレコードでもなくカセットでもなくCDのみとして発売された本コンピレーション。2024年、SACDとしてリマスタ再発。フォーマットを変えてのリリースは初めてとなるこのコンピレーション。ステレオサウンドからのまさかのSACDリリースと聞いて、一瞬た…
変幻自在に皮膚の色を変えるカメレオンのごとくのボーカルスタイル。それはVaundyなりの挑戦であり、同時にリスナーへの挑戦状なのではないかと。2ndアルバムにして「私はこう言った者です」と完全体を提示する力は十分にあっただろうに、それを潔しとしない…
青い才能たちの爆発力が凄まじい2020年代ですね。キタニタツヤは昨年末の紅白歌合戦で初めて目にして、「こりゃまた…」と驚いた才能の一人であります。私にとって、今の今まで失われていた2020年代のJ-POPを追いかけているここ数ヶ月ではありますが、キタニ…
TESTSET、1stアルバム。経緯は複雑にしてあれど、METAFIVEからの発展的スピンオフと捉えた。そこから取り出した上澄みには、腰に響くかのような研ぎ澄まされた線の太さがあった。そのような二律背反がここに成立している。だからこそプリミティヴに、ダイレ…
日本の年末恒例演目「忠臣蔵」。三波春夫が描き上げた歌謡浪曲「大忠臣蔵」を、現代に歌謡浪曲を伝える三山ひろしが演じると言うことで、これは見ておくべきだろうとチケットを入手しました。明治座公演なので、歌謡ショーの第一幕とメインの第二幕の構成。…
King Gnu、2023年最新アルバム。このバンドに対し、自分にとって取っつきの悪い、どこか据わりの悪い印象を覚えていた理由は、このバンドが得意としているだろうその不協和音的響き、もしくは音としての居心地の悪さをアンサンブルの中に落とし込む高度な技…
オリジナル1996年発売。5作目のオリジナルスタジオレコーディングアルバムのリメイク。先述の『MOTHER』から約1年半のスパンを置き、当時届けられた作品。耽美な世界観が先行していた前者に対し、よりソリッドな姿勢がバンドとしての孤高感を極めることへと…
オリジナル1994年発売。2023年仕様のリメイク盤が、この『MOTHER』と『STYLE』の2作品同時発売で届けられた。2枚を通して聴き、まず思い浮かんだのが「演奏の土台はオリジナルを尊重し、その骨格を保った上で今のLUNA SEAが演奏することにより、どこまで現時…
横浜まで掲題のライヴを観戦に。本田雅人とは何かと縁があるDEZOLVEとの共演。前回の「DEZOLVE with 本田雅人」は観ることが叶わなかったので、今回の開催を知り(自分の仕事の休みが水木に変わったことを受けて)嬉々として行ってまいりました。事前の X(T…
Mr.Children、2023年時点での最新アルバム。ここまで大きくなったバンドでも、まだこれほどまでの冒険が出来るのかと驚かされるとともに、それを素直に受け取らせる説得力を持った作品に仕上がっている。全体的にアコースティックギターの響きが印象的に映り…
昨晩からずっとこれを聴いている。今、2巡目。ビートルズについては、これまでもほぼほぼベスト盤でしか聴いていない。かつ、青盤ですら通して聴くことはあまりなかった。ロックの衝動と再構築に意欲的に突き起こされていたのだろう時代から、「ビートルズ以…
昨晩は朝までSpotifyのガチャポッププレイリストを聴いておりました。今、Spotifyが推したい、もしくは世間に推されているJ-POPを「ガチャポップ」と称してプレイリストで展開しているようなのだけれども、それを数時間聴いていると、意外と受け入れられてい…
これまで自分が聴いてきた数少ないラフマニノフのピアノ協奏曲録音物は、いずれも音の抜けがもう一歩足りないように感じられていたのです。それが故に演奏までもがどこかくすんでいるように思えることも。しかしこのユジャ・ワン盤を聴いてみると、それはラ…
TRIXの記念すべきオリジナル20作目。って、TRIX、そんなに枚数重ねていたのか…。歌物楽器がやけに気合いを入れている一方で、リズムセクションがもう手癖でやっているように感じられるのは、あくまでも気のせいかしら?ドラムの切れ味のぬるさといい、ベース…
クラシック音楽の演奏、そこには伝統と革新の二派が存在すると思っている。おそらく現存する楽団は大きくその二派に分けることも出来るのではないかと。もちろんその両翼を担う楽団も存在するのだろう。ベルリン・フィルはもちろん確固たる伝統を保っており…
昭和歌謡の持つニュアンスと、アイドル歌謡の持つ華やかさやその裏にある影を、今に描き出そうと取り組んだ好作に今回も結びついている。
非常に遅まきながら聴いた。いたく感心させられた。誰にとは言わないけれども、追いつこうとしたら別のベクトルに突き進んで追い越してしまった感がある。年齢を飛び越えた成熟と、その年齢にふさわしい青さとが同居した居心地の悪さ。アンバランスな立体の…