やや長文・レビュー
アルバムのタイトル『RIGHT NOW』の通り、正に今のメンバーの持てる力を全て駆使して、今のCASIOPEAには勢いがあるのだとする力強い現状提示に成功しているかのよう。何よりもその勢いが空回りしていない。このメンバーでやっていくのだとする意思表示、決意…
バンドも私たちも感性の神経を剥きだしにしてこの音を研ぎ澄ますことが出来る。送り手と受け手とを直接結びつける交歓がここにはあるのだ。
2000年生まれの俊英コンダクター、タルモ・ペルトコスキとドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団によるモーツァルトの交響曲集。ドイツ・グラモフォンからのリリース。全編を通して解像度の高い、カリッとした仕上がりのモーツァルト。モーツァルトだか…
リリースされていたことをすっかり失念しておりました。ようやく入手。香港evosoundが誇る歌姫、その一人、スーザン・ウォンの最新作。今回は日本人ミュージシャンを迎えてのアルバムとのこと。聴き始めるとこれまでの彼女のアルバムが持っていたハイファイ…
なんとなくメタル系な気分だったので、Spotifyのプレイリスト頼みで再生してみたのです。好みか否かのジャッジを楽曲の頭1分ほどで行う、実にサブスク型な音楽の聴き方をしつつ、「ん?」と思ったのがこのグループ(バンド?)。女性3人組でメタルを演奏する…
TESTSETからの流れで肉感的な無機質を耳に流し込みたかった。小室哲哉のその後のゴシップサイドに繋がって行くユニットでもあり、なかなか音楽としては正当な評価を受けることのなかった存在だったかな。それまでのTKサウンドとしてのキャッチーさを極力排し…
5月に入ってからは、5/2 DEZOLVE@BLUES ALLEY JAPAN 5/15 COMPLEX@東京ドーム 5/20 Eliane Elias@BLUE NOTE TOKYOと観てまいりました。今月は大宮ソニックシティでもう一本ライヴを控えております。いや、一月に4本もライヴを観るなんて、何かおかしい。…
最近、仕事の昼休みにはイヤホンをして、楽曲単位でシャッフル再生をさせていることが多く。予期せぬ楽曲が流れてくる楽しさがあるのですよ。今日はこのアルバムからの楽曲が再生されて「おや?」となったのですよね。こんなに格好よい曲があったのか、と。…
「ヴァイオリン協奏曲」 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、自分が語るまでもないあの有名な旋律を有した、ヴァイオリン協奏曲と名のつく作品の中ではトップクラスの知名度を持つだろう楽曲ではあるけれども、そのあまりものベタさ加減になのかなんな…
つい最近きら星のごとく現れたと思っていた宇多田ヒカルももう25年選手。リリーススパンが長いことから、そのキャリアの割には楽曲数を稼いでいるわけではないけれども、その分だけ楽曲毎の重さ、密度の高さには凄まじいものがあって。それが故にこれまでは…
Mummy-D、濃縮還元120%。待望の、愛すべきDさん1stソロアルバム。RHYMESTERにおいては宇多丸さんよりもDさんファンの私のこと、このアルバムを待ちに待ち焦がれておりました。そして蓋を開けてみれば…冒頭の一文へ戻るわけです。どこをどう切り取ってもDさ…
ノラ・ジョーンズ2024年リリースの最新作。HDtracksから音源を購入した後にタグを編集しようとしたところ、ジャンル欄に埋込まれていたのは「Pop」の文字。最早彼女は「Jazz」ではないのだね。そしてその事実が象徴するようなサウンドが展開されたのでありま…
休日の夜モードに入ってきても葛谷葉子。最新作、ベスト盤と来て、やはりオリジナルアルバムも聴かないと嘘でしょうとなり、これを。1999年発売の1stアルバム。トータルプロデュースは松尾潔。アレンジャーに名を連ねているのは松尾潔、マエストロ-T、鷺巣詩…
田中裕梨をAmazonで眺めていたら、この方のCDがサジェストされたのですよ。その昔どこかで名前を見かけたような気はするけれども、触れたことがなかったな、と。調べてみると、あの90年代末期から00年代初頭にかけてJ-POPで盛り上がっていたR&B系シンガーに…
ジャンク フジヤマ初の全曲カヴァーアルバム。これまでもカヴァーを数多く、積極的に展開していたこの人のことなので、意外と言えば意外。楽曲単位でのカヴァーがメインだったのか。これまでも気が向いたときなどに聴いてきた彼のヴォーカルなのだけれども、…
思い出した頃に聴く陰陽座。かつてまとめて一気にレンタルした音源群ですな。放っておくとどこから聴き進めてよいものか分からなくなってくるので、コンセプトアルバムであると言うことを指標にして聴いてみた次第。これがまた格好よいんだ。得も言われぬ圧…
本日のチルアウト仕切り直し。LPのA面にあたる前半が中島みゆきによる提供曲で、B面にあたる後半が杉本眞人による提供曲。どれもこれも名曲過ぎて恐ろしい。全盛期の研ナオコ恐るべし。CD化されていなかったオリジナルアルバムにこのような名盤があるとはね…
『THE FIRST TAKE』で久しぶりに画面の中で歌っているアンジェラ・アキを見た。イヤホンで彼女の弾き語りと学生によるコーラスを聴き、目頭が熱くなると同時に思った。この曲が世に広まっていたあの頃、私は30代の半ば。今思えば人生の最も深くて長いトンネ…
辛抱たまらずに買ってしまった。TM NETWORK『CAROL』ステレオサウンドによるハイブリッドSACD、2024年盤。仕事から帰ってくるなり、到着したディスクをいそいそとセットして再生。出てきた音に口をぽかーんと開けながらも集中して聴くこと一時間。凄いものが…
第一楽章、いかにもヤルヴィの指揮らしいティンパニの咆吼に対し、ストレートに大地の鳴動を想像させられてみたり。オーケストラをフルレンジに駆使する演奏に一瞬雑味めいたものをおぼえたのも事実なのだけれども、このスケール感で奏でられるシベリウスと…
バーンスタインによるベートーヴェンの交響曲をこれまで聴いてこなかった。本全集がHDtracksでディスカウントされていたこともあって、ひょいっと購入。とりあえずの所を聴いてみた。以下、そのインプレッション。バーンスタインはどこにも属していないかの…
昨年末から自分の中で急上昇しているMrs. GREEN APPLE。それまでも何度か挑戦してはいたのですが、どうしてもアルバム単位で聴き通すことが出来なかったのです。ロックバンドとして捉えていたので、その過剰とも言えるポップネスがどうにも受け容れがたく。…
ぼんやりと過去ログを漁っていたら、たまたまこのアルバムについて熱く語っていた過去の自分に遭遇した。10年ほど前の話。そして「傑作、傑作」と語っていながらも、何がそう思うに至ったのかの記述がない、相変わらずの自分がそこにいた。それならば今のモ…
1987年にレコードでもなくカセットでもなくCDのみとして発売された本コンピレーション。2024年、SACDとしてリマスタ再発。フォーマットを変えてのリリースは初めてとなるこのコンピレーション。ステレオサウンドからのまさかのSACDリリースと聞いて、一瞬た…
変幻自在に皮膚の色を変えるカメレオンのごとくのボーカルスタイル。それはVaundyなりの挑戦であり、同時にリスナーへの挑戦状なのではないかと。2ndアルバムにして「私はこう言った者です」と完全体を提示する力は十分にあっただろうに、それを潔しとしない…
青い才能たちの爆発力が凄まじい2020年代ですね。キタニタツヤは昨年末の紅白歌合戦で初めて目にして、「こりゃまた…」と驚いた才能の一人であります。私にとって、今の今まで失われていた2020年代のJ-POPを追いかけているここ数ヶ月ではありますが、キタニ…
TESTSET、1stアルバム。経緯は複雑にしてあれど、METAFIVEからの発展的スピンオフと捉えた。そこから取り出した上澄みには、腰に響くかのような研ぎ澄まされた線の太さがあった。そのような二律背反がここに成立している。だからこそプリミティヴに、ダイレ…
日本の年末恒例演目「忠臣蔵」。三波春夫が描き上げた歌謡浪曲「大忠臣蔵」を、現代に歌謡浪曲を伝える三山ひろしが演じると言うことで、これは見ておくべきだろうとチケットを入手しました。明治座公演なので、歌謡ショーの第一幕とメインの第二幕の構成。…
King Gnu、2023年最新アルバム。このバンドに対し、自分にとって取っつきの悪い、どこか据わりの悪い印象を覚えていた理由は、このバンドが得意としているだろうその不協和音的響き、もしくは音としての居心地の悪さをアンサンブルの中に落とし込む高度な技…
オリジナル1996年発売。5作目のオリジナルスタジオレコーディングアルバムのリメイク。先述の『MOTHER』から約1年半のスパンを置き、当時届けられた作品。耽美な世界観が先行していた前者に対し、よりソリッドな姿勢がバンドとしての孤高感を極めることへと…