音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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STYLE / LUNA SEA (2023 96/24)

オリジナル1996年発売。

5作目のオリジナルスタジオレコーディングアルバムのリメイク。

先述の『MOTHER』から約1年半のスパンを置き、当時届けられた作品。耽美な世界観が先行していた前者に対し、よりソリッドな姿勢がバンドとしての孤高感を極めることへと繋がっていた。

サウンド的にこのスパンは大きなものであり、今回のリメイクでその差はどのような形に生まれ変わるのかに興味があった。

アルバムの流れとして「G.」を聴いた瞬間に、両者が持っていたカラーの違いは今回も音として如実に現れていると実感した次第。この曲はシングルにはならなかったものの、アルバムの方向性を色濃く表わしている攻撃的なナンバーであったからだ。贅肉を完全に削ぎ落とした楽曲のパッケージとしての存在が、リメイクであっても何も失われていない、むしろよりシャープな形になって姿を現したことに喜びを覚えた。

一曲一曲が演奏側にもリスナー側にも緊張感を求めるスタイルを有している本作のこと。その極限に位置しているのが10分に及ぶ緊張の大作「FOREVER & EVER」。

音が大空へと解き放たれるかのごとくの壮大さを持ったこの楽曲を大きな峰としてアルバムは登り詰め、そしてシングル曲をたたみかける「END OF SORROW」「DESIRE」「IN SILENCE」の豊かな後半の流れでそこまで持ち続けていた心地よい凝りを解きほぐす組み入れ方が、このアルバムが持つ独特の雰囲気を保ち、作り上げていたことに改めて気付かされる。

作品全体として静かなる炎を持って深々と進む楽曲と演奏の方向性が今回も踏襲され、爆発する瞬間でのエネルギーの放出量との落差を、LUNA SEAが持つバンドサウンドの快楽として捉えることが出来る。

この2作をリメイクした理由には、LUNA SEAのサウンドとしての頂点であり、原点でもあったからと言った背景もあるのではないかと思うに至った次第。リリースの発表から待ち続けた甲斐があり、届けられたその内容にも十二分に満足のいくものであった。

これら音源を今の新しいリスナーが受け止めるとどのような感想を抱くのか、10代、20代の感性にどこまで訴えかけることが出来るのか、そして現代のバンドスタイルでは見当たらない独自の世界観をどのように受け入れることが出来るのか等、興味は尽きない。

少なくとも、後にも先にもLUNA SEA以外にLUNA SEAの代わりとなる存在はなかったのだと、唯一無二の絶対的存在感に圧倒されることしばし。

STYLE (ALBUM(スマプラ対応))