音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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MOTHER / LUNA SEA (2023 96/24)

オリジナル1994年発売。

2023年仕様のリメイク盤が、この『MOTHER』と『STYLE』の2作品同時発売で届けられた。

2枚を通して聴き、まず思い浮かんだのが「演奏の土台はオリジナルを尊重し、その骨格を保った上で今のLUNA SEAが演奏することにより、どこまで現時点でバンドが持っている攻めの姿勢を提示できるか」に専念したのだろう、と言うこと。

従って大幅なリアレンジは見当たらず、実にオリジナルに忠実に、そして演奏のエッジや攻撃性はバンドの歴史を枷にしない大胆さを持って演奏、録音に挑んだのだと実感出来る内容に仕上がっている。

自分が一時不安視していた河村隆一のボーカルスタイルの軟弱な変化の上乗せもここでは杞憂に終わり、あの当時のRYUICHIのスタイルと今の円熟味を帯びた彼のスタイルとのハイブリッドを安心して楽しむことが出来る。

何よりもバンドの演奏が鋭く太い方向にまだまだ進化していたことに感銘を受けた。途中活動がない期間はあったものの、30年選手のバンドがまだまだここまで音で攻め立て、それだけのブランクを全く感じさせない、むしろ重量感を持って音を届けていることに喜びを覚える。

特にシングル曲でもあった「ROSIER」「TRUE BLUE」に至っては、一発録りで挑んだのではないかと思わせるほどの、バンドのアグレッシヴさと一体感とを同時に感じ取ることが出来る。あの頃熱中して聴いていた楽曲が、その質感が損なわれることなく今の時代に生まれ変わっている。ただのリテイクとして軽く流すことなく、リスナーの思い入れをも重視した内容になっていることの表れではないかと。

個人的にはベーシストJのその線の太さと、ギタリストINORANの挑発的に楽曲を盛り上げるバッキングのスタイルの変化に耳を奪われ、それと同時に痛快さを覚えた上での笑みが止まらなかった。ドラマー真矢とギタリストSUGIZOの抜群の安定感とアイディアの豊かさはもちろんのことで。

演奏に対する飽くなき貪欲な姿勢がうかがい知れる一枚として本作を捉え、次の『STYLE』へと繋ぐ。

MOTHER (ALBUM(スマプラ対応))