心と音楽
人は何をしようが、何をなそうが、人間であることを超えることも逸脱することも許されない。それは人としての枷なのだろうか、限界なのだろうか、人は諦めるための器に収め封じられているということの現れなのだろうか。近年の中島みゆきは、人として生きる…
だからこそ私は私の人生ももっと謳歌しなければならないのですよ。たとえもう中年期のど真ん中にいたとしても。そこに至ったことの悲しみを心に抱いていても仕方がない。幸いなことになのか、自分のこの歳にして亡くした友人は一人のみ。失われた命よりも産…
1988年。東京。おそらく街中が華やかな灯りと希望、夢、欲望にあふれていた時代。その中で自らを持て余しながら生き進んでいた青年は、今、あの時代を振り返りどのような思いにとらわれるのだろうか。あの頃に心の奥底で燃やしていた烈火は、もはや遠い熾火…
冬の最中。夜は落ちる。季節柄なのか、日照時間が少なくなることによる脳内物質の低下が引き起こすのか。昨年もこの時期から大きく落ちていた。あの時はバースデー・ブルーなどとうそぶいていたが、どうやらこの気分の落ち込み方は本物のようであり。気が滅…
自分の青春期へと向かって気分やら記憶やらを遡っていくことは簡単だけれども、もうあの頃の勝手に背負っていたしがらみや足枷から心が解き放たれている存在がここにいるので、今は今、過去は過去で繋がらせながらも切り離して考えるのです。それほど楽天的…
この作品とも連れ添うようになってからもう結構久しいのですが、時間を重ねれば重ねるほどに、ここでのベースとギターがしんしんと穏やかで静かなる対話しているかのように、作品と私もまた対話をするその深度がより深いものになっていくような気がするので…
風の向くままに舵を取り、宜候と叫んでみたとしても、その行き先は未だ見果てぬ夢の地なのか。自らが声高に掲げた標榜は、自らに刃として突き刺さることもある。諸刃の剣を持ちながら、人生のどれだけの時間が暇つぶしなのだろうかと考えてみたところで答え…
バイオリズムが急速に低下しているのを全身で感じ取っている夜にこれを。こんな夜には、人の存在は大して役には立たない。
月食が終わり、穏やかなるも冷たい夜が残された日に。身体はまだそこにあれど、心は既にこの掌から去ってしまった方への思いを馳せながら聴く。今年もまた冬がやって来る。
この作品も自分にとっては「夏」なのだよね。どこか寂寞とした夏。河川敷でたたずんでいるかのような夏。
ダブポップでこの部屋という空間に溶けていく自分を妄想する。空気になってその辺へと満ちていけば、少しはこの夏と言うものを回避出来るだろうか。
このアルバムに「さよなら夏の日」が収録されていることを失念していた。曲が始まった瞬間に、何かが極まった。本当にこの夏にはさよならをしたい。もう夏に対しての絶望しかない。
窓の外の空模様と、カーテンレールにぶら下げられている洗濯物のせいで、気分が鬱々としてくる。WALKMANとイヤホンの組み合わせで自分だけの小宇宙へと入り込むことに決め込んでこの音源を。少しだけ気分も落とし気味に。
やるせない夜へのはなむけとして。いや、それともそんな夜へと向かうイントロダクションか。
はい、朝ですよ、朝。このアルバムとも長い付き合いだと思いながら聴く。20代で聴いていたeastern youthと40代も終わりに近づいている年齢で聴くeastern youthとは訳が違う。言葉の入り方とその深度が全く異なるのですよ。表層をなぞってはその気になってい…
これを聴きながら人生についてコンパクトに考えていた。清濁併せ呑んで後々に吐き出せば、それが結果としての人生なのだよと語りかけるがごとく、Mark Knopflerが歌う。結果としての人生などと達観出来るようになるには、まだまだ自分は自分の人生を生きては…
ピアノだけで紡がれるその音は、薄い月にも似て。脆いまでに完璧に造形された陶磁器を思い起こさせる。人の心もまた然り。心はその人物の中でのみ完結するならば完璧でもあろう。それを映す鏡が存在するからこそ揺れるのだ。
それは振り返ってみれば、の話に過ぎないが、SHAKKAZOMBIEは自分にとっての音楽のジャンクションだったのだなと。
シュミットの緩やかに流れ、目の前を通り過ぎていく作品に相対すると、自分の中にいる思考と言う名の得体の知れぬ化け物が、その音楽性と真逆に自らを蝕んでいくような感覚に陥ってしまう。
耳へと滑り込む音の奔流が、眠気と刺激のせめぎ合いへと繋がり、ため息をつくことのみが許される世界へと、肉体と意識が飛び込んで行く。
人生、かくも苦いものかと、この歳になって今と言う時間と自分とを対比させ、省みることがある。マーク・ノップラーのこの歌声とギターとが、その気持ちに拍車をかける。時間は容赦なく自分の傍らを通り過ぎ、社会情勢も刻一刻と変わっていく。自分も何も変…