音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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LIFE [2024 Remaster] / 小沢健二 (1994/2024 48/24)

言わずと知れた名盤の2024年リマスタ。アナログ盤リリースに先行したハイレゾ配信なのかしら。不意打ちで配信されたので少し驚いた。

リマスタとは言え2021年にリリースされた『犬は吠えるがキャラバンは進む』同様、録音レベルはステイさせた模様。ボーカルや楽器の輪郭を明瞭にさせた処理が施されている。

改めて聴き直して思うに至る。これはポップスの一つの理想形なのだろうな。人を幸せに、心を明るくさせる音楽。甘酸っぱい感覚と切なさの両立。

あれから30年も経過したわけなのだけれども、これを聴いて当時の感覚に戻ると言うよりは、この間本当に…本当に色々とあったけれども、取りあえず今もまだ生きてるよ、君はどうしているかな?と訊ねたくなる気にさせられるような心の解放感が導かれるのだよね。お互いきっと酸いも甘いもあったよね、と。

その期間に蓄えられたパンドラの箱の中には何が残っていたのかな?でも、きっとそれが真実なのだよね、と。多くは語らずとも、向き合えば何か通じるものがあるかのように。

この多幸感あふれる音楽は、もしかすると今の時代にはなかなか生まれてこないのかもしれないな。

LIFE

Nautilus / SEKAI NO OWARI (2024 44.1/16)

SEKAI NO OWARI最新アルバム。ようやく聴いた。2019年頃を最後にほとんど聴いていなかったので、実に5年ぶりにまともに相対した次第。

セカオワの楽曲にはどこか鬱々としたものが基調にあり、そこから目を背けることなく前へと向かうイメージでいたのだけれども、この5年間で何があったのだろうか。

「これは素直にいい曲だとコメントすべきだね」と言った開けた世界で幕を開け、その後に徐々に内面へと向かっていく。そこにあるのはFukaseの中に存在する音の景色の中を自在に歩き回っている、歩き回れるかのような感覚。

うねるような心の暗さは今でもそこに潜んでいるのだけれども、霧が晴れて景色が鮮やかになっていくかのような清々しさが聴き終えた後に残った。

心の襞を闇で埋めていくのとは逆で、そこにかつてあったものを少しずつ洗い流していくかのような作業を音楽を通して行っているかのようにも思えてみたり。中から見るか外から見るかの、その差は非常に大きいはずで。

アルバムを通しての曲の構成からは、かつては激しかった心の動き、浮き沈みが、今では緩やかに流れるかのような移ろいに変わってきたかのようにもうかがえる。

提示された音楽に触れやすくなる、それは音楽を通して親しみやすい存在に変わってきたことと恐らく同義なのだろう。5年のブランクはそのようなものだったのだな。

Nautilus (通常盤)

my blue / krage (2022 48/24)

今さらながらなのですが、この音源、相当に多方面においてヤバいですね。昨晩から相当回繰り返して聴いている。

邦楽ポップスとしては録音が素晴らしく面白いことになっております。再生させた途端に部屋に満ちる音の充足感。ここ数年、ここまで面白い録音の音源には巡り逢えていなかった気にさせられるほど。これはメインオーディオのスピーカーで聴くからこそ映えるのでしょう。DAPで聴くと、その音の方向が全く異なって捉えられたのでね。

そして楽曲と歌唱の尖り具合も素晴らしい。痛々しいそれとはまた一線を画しており、ここにはえぐりながらも解放していく昇華のパワーがある。

デビューアルバムが5曲入りEPでのリリースであることには、きっと相当な意味があるのだろうと思えるほどに濃い内容。徹頭徹尾気の抜けない、息もつかせぬ展開となっておりました。

オーディオ的観点においても音楽的観点においても、実に興味深い。

この音源、2年間もHDDの肥やしになっていたのですよ。まったく何をやっているのだか。

my blue (通常盤)

犬は吠えるがキャラバンは進む / 小沢健二 (1993/2021 44.1/16)

しかし命の危険を感じるほどの暑い日が続きますな。半日近く外にいたら軽く殺された。

自分にとっての「ナツイチ」。とりたてて夏の光景を歌っている作品ではないのだけれども、この張り詰めて研ぎ澄まされた神経の行く先々に意志が宿っている様が、自分にとっての夏にふさわしい一枚に鎮座する理由と繋がっているのです。

夏に対する感情は年齢と共に鈍磨しているのは事実なのだけれども、やはり半日であっても、溶かされると錯覚するほどの太陽の光を受けていれば、それなりに気分の膜が剥けて何かが現れてきてはしまうのです。

そこからの連想ゲームで思い浮かんだ小沢健二のこのソロ処女作。水分補給代わりに流し込んだアルコールと、それによってより一層メルトされた頭の中と、復帰を試みる脳の活性が相まって混迷を来している中、そこにグルグルと渦を巻いて小沢健二が訥々と語りかけてくるのです。

太陽の下で黒焦げにさせられると錯覚していた夏は、いつの間にか先に述べたように溶かされると錯覚させられるほどの威力を持った夏となり、1993年の夏と2024年の夏とのその極端なギャップに順応できずに、気を抜くと倒れ込みそうになる身体を精神にぐっと力を込めて立たせている状態をいつまでも保てるはずがなく。

端的に言えば、もう既に今年の夏にまいっているのですよ。まだ7月なのに。夏の休みにも入っていないというのに。

そう言うことなのです。

犬は吠えるがキャラバンは進む (完全生産限定盤)(2枚組)

ブラームス:交響曲第1番 / フィリップ・ジョルダン, ウィーン交響楽団 (2020 96/24)

長時間寝落ちからの復帰後に。

「ブラームスは絶対にベートーヴェンマニアだったよね」と思いながら聴いたとかなんとか。

それはさておき。

寝落ち前に室内オケによる最新型のブラームス録音を少し聴いたのだけれども、軽めのボディにスイスイと進む小気味よさ…にはなんだかもう少し飽きてきたな、などと思ってしまったのです。

重厚長大なブラームスが良いとまでは極端に振れるつもりはないけれども、「中庸」は決して悪いことではないよね、とも感じたのでこの演奏を聴いた次第であります。世の中には「ウェルバランス」というものだってある。

ブラームス: 交響曲第1番-第4番[4枚組]

DAPとイヤホンにかまけておりました(Hiby R4 & SOUNDPEATS Capsule3 Pro Plus)

このところDAPとイヤホンにかまけてました。

DAPはHibyのR4、それもド派手なオレンジを購入。一目惚れした。

音質的な追い込みが色々と楽しめて面白いDAPです。安いのにここまで出来る子だとはね。細かな不具合(バグ)はまだあるけれども、なかなかに楽しめております。

イヤホンはSOUNDPEATSのCapsule3 Pro Plusを購入。

一年間以上愛用しているTechnicsのAZ80から軽い浮気心と好奇心で購入してみたのだけれども、これまた1万円台前半とは思えない、非常に興味深い音を出してくれるのです。自分の好みにおいて、そしてある意味においてはAZ80と肩を並べる存在ではないかと。

総じて出音は価格じゃないね、自分の好みに合うか否かだと再認識。

この2機種に関してはそのうちに何か書けるとよいな。