音楽情報サイト「ナタリー」でたまたま目に止まった「デラックス×デラックス」なるバンド。昭和歌謡マナーの音楽を作成しているとの事だったので「ああ、またそう言うやつね」と適当に聴き流してやろうと思ったのです。
気がついたら1時間以上聴いていた。これを書いている今も聴いている。
今だからこそ振り返ることの出来る戦後昭和のカオスを、見境なくグチャッと詰め込んだ感満載。音楽的に何でもありで育った世代が昭和歌謡にフォーカスを当てるとこのようなアウトプットが生まれるのかと、いたく感心した次第。
基礎にあるのは極めて真っ当な音楽への欲なのだろうね。世界観はふざけているのかもしれないけれども、音楽はこれっぽっちもふざけていない。もちろん世界観に沿ったかのようなオーバーリアクションなボーカルスタイルはあるけれども、それはバンドとしての売りだろうから、やはりいたって正当派であると受けとめられる。
そしてSpotifyで聴ける音源は一通り聴いてしまった。現時点リリースされている音源で、個人的に最も心を持っていかれたのはEP「恋してよDISCO」。
表題曲での2ndコーラスAメロでの詰め込み方(1stコーラスでの基本メロディがしっかり構築されているからこそ出来る技)と、あまりにもあざとい転調のリフレイン。これを私が好きにならないはずがない。あっさりと覚えられるメロディなので一緒に歌ってみると、これがいやはやなかなか…高い。…いいね。
そしてカップリング、名曲ど真ん中「ラヴ・イズ・オーヴァー」の、こんなに「吠える」かのごとく歌われているこんなスタイルのカヴァーは、いまだかつて聴いたためしがない。欧陽菲菲のソウルフルなボーカルをこのようなスタイルに置換することにためらいがないのか。とんでもない。…いいね。
そして今回聴くことの出来たバンドの演奏は、極めて真面目。上から目線で言えば「ちゃんと音楽してるじゃん」と。でもそれって大事な要素だよね。先に記したインタビューでも「出オチにはしたくなかった」的発言があったのだけれども、これなら出オチも何も、しっかりと楽しませてくれるじゃありませんか。また、そうさせようとするエンターテイナーとしての力がある。
えらく気に入りました。6/2にはフルアルバムもリリースされるとのことなので、何らかの形でチェックは外さないようにします。