1987年生まれの新ドラマー今井義頼を迎えてのCASIOPEA第4章、「CASIOPEA-P4」としてのリスタートアルバム。
期待半分怖れ半分。オープニングナンバーは後者的中。あまりにも展開が読めてしまう予定調和な楽曲で始まってしまい、さてこれはどうしようかと頭を抱えてしまったのであります。
メンバー、それも屋台骨であるドラマーが若返っての交代であったのだから、そこを新しい基軸として音を作り上げなくてはならないのでは、と。
その意味でも、全てにおいてあまりにも手垢がべったりと付いた「CASIOPEA」のサウンドだったので逆の意味で驚いてしまった次第。それがこのバンドのカラーと言えば聞こえはよいが、そこから思いきり抜け出す意気込みもあってよいのではないかな、とね。
そのような思い、疑問、期待を持ち続けながら2曲目でやや安心。演奏も音も尖っている。でもアンサンブルは安心出来る意味でのCASIOPEA印。カラーの出し方はそれくらいで丁度よいのよ。
続く3曲目はどこかスムースジャズを思わせる風景が心地よい。うん、持ち直してきた。4曲目もつかみがよいですね。どのパートもややロックテイストに振って、パキッとさせた音色で構成された仕掛けが耳を引く。
5曲目。シャッフルビートで攻めようとしている意図は見えるのだけれども、どうにもアンサンブルが重い。もっともっと抜け感が欲しいと思わせてしまう。このようなビートなので、もっとドラマーが自前のカラーを出してもよい、そうあって欲しいと願うのだけれども。CASIOPEA-P4と言うバンドにきつく音を刻みつけるくらいの気概を持って。
後半に入り6曲目。また怖れが大きく上回ってきた。どうにもこうにもCASIOPEAです。それも緩いCASIOPEA。曲調が緩いことが問題なのではなく、アンサンブルに緊張感が感じられないことでワクワク出来ないことが、自分にとっての不満に繋がっているのではないかと。
7曲目。印象はここまでとさほど変わりはなく。安心出来ると言えば安心出来る。それだけで終わってしまってもったいないと言えばもったいない。ドラムの勢いがプレイのアクセント、フィルインにしか存在しない。やはりもったいない。
続く楽曲。CASIOPEAですね。誰が何と言おうとCASIOPEA。それも残念な方向に振れてしまったCASIOPEA。全てがCASIOPEA。それでよいのであればもちろんそれでよい。それでも自分はCASIOPEAの音はこれまで十分に摂取してきたので、CASIOPEA-P4としての新しい音が欲しいのです。
残り2曲。リズム隊がどっしりと構えてますね。ドラマーが頑張ってます。でもそれも一瞬だけの光。ようやくトンネルから抜けてきたかと思わせつつも、やはりCASIOPEAという重い蓋がのしかかっているように聞こえてなりません。
ラストトラック。以下同文。同じ印象を繰り返し書いても仕方がない。
ここまでCASIOPEA-P4としてのデビューアルバムを聴いてきたわけですが、率直に自分が持った印象で以下。
これまでの歴史を伝統芸能に変えて老成していくのであれば、もちろんそれもバンドとしての一つの生き様だとは思います。でもそれでは飽きてしまうよね、と。これまでの、そして今回のメンバー交代に新風を求めているのであれば、それがもっと表に反映されてもよいのではないかと。
アンサンブルを重視したと見る向きもあるだろうけれども、アンサンブルの中でも冒険心や開拓の気持ちを持たないことには、音の作り手としての根腐れを起こしてしまうのではないかとも。
バンドとしてどこへ向かいたいのか。それがメンバーの持つ方向と自分が期待している方向とでズレているだけなのかもしれません。それとも空気が入れ替わることを自分が過剰に期待してしまったかしら。
ケミストリーが欲しかった。バンドアンサンブルがこなれてくるだろう次作に、そこは期待を寄せることにしましょう。