音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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cult grass stars / thee michelle gun elephant (1996)

「毎日がミッシェルさん 最終回」

ということで、ほぼ1日1枚聴いてきたTMGEのアルバムマラソン大会も本日が最終日。メジャーデビューアルバム『cult grass stars』であります。

遡って聴いていくと、実はこのアルバムがTMGE作品の中で一番の異端であることがわかる。チバユウスケが歌っているからこそTMGEとして認識出来るが、バンドアンサンブルだけを聴くと、様々な曲を演奏する器用なロックバンドという印象しか残らない。

では何を持ってこのアルバムをTMGEたらしめているかと言えば、それは「世界の終わり」が入っているからに他ならない。BPM、音質、世界観、全てが初めてこのバンドの音楽を聴いた者に対して「これがTMGEなのか!」というインパクトを与える1曲。その後もライブで披露される度にオーディエンスが踊り狂ったらしいというのだから、この曲の殺傷力は相当なものがある。

自分にとってもこの曲との出逢いがなかったら、きっとTMGEというバンドと接することはほとんどなかったのではないかと思うほど。本作は「世界の終わり」を補強する楽曲で構成されていると言っても過言ではないのでは。それら楽曲は妙に明るかったり、音に隙間が多かったりと、その後のTMGEではあまり見られない光景が並ぶ。

そう、TMGEは「世界の終わり」というタイトルを持ってしてデビューを果たし、そしてバンドという世界を潔く終わらせた存在だった。

アベフトシの逝去でオリジナルメンバーでの再結成は叶わないものになってしまったのは、本当に無念としかいいようがない。このバンドはアベフトシの作り出す音の成長とともにあったとも言えるので、運命的に解散も当然のようなものだったのかもしれない、などと。

以上、thee michelle gun elephant全フルアルバムマラソン終了。近年のTMGEが如何に他を寄せ付けない格好良さで武装されていたかがよくわかる結果となりました。これからももっと愛聴していきます。