音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

当コンテンツではアフィリエイト広告を利用しています

Visions / Norah Jones (2024 96/24)

ノラ・ジョーンズ2024年リリースの最新作。

HDtracksから音源を購入した後にタグを編集しようとしたところ、ジャンル欄に埋込まれていたのは「Pop」の文字。最早彼女は「Jazz」ではないのだね。そしてその事実が象徴するようなサウンドが展開されたのであります。

アルバムを再生した途端にのけぞった。いきなりハイトーンに攻めてくるのだもの。そしてアルバム全体を通して感じられる、実に明るくリラックスしたムード。それはボーカルだけではなく演奏全体に横たわるもの。どことなく幸せな気分に包まれるグッド・ミュージック。

これが最新型のノラ・ジョーンズか、と思いながらも、思えば1stアルバムでのインパクト以降にリリースされた全てのアルバムにおいて、彼女はリスナーを裏切り続け、そして自らの中で奏でられているだろう音楽を提供することに苦心してきたはずだ。

それであっても、自分を含め、まだ「Don't Know Why」に取り憑かれている耳目があるのだから、あの衝撃のなんと大きかったことか。同時にそれを常に新機軸で煙に巻くノラ・ジョーンズの、そしてそれを取り巻くクリエイターの音楽的引き出しの何と広いことか。この最新作でも「彼女が歌い上げるジャンルはどこまで広がっていくのだ?」と思わせるその幅の広さで、こちらの心と耳とを射抜きにかかる。

そうだよね。あのロバート・グラスパーのアルバムでのボーカルだって、あのトラックにこの声だったものね。

考えてみれば、ノラ・ジョーンズの音楽的一挙一動から目が離せない自分がいる。そこまでの魅力と、そこを追うに足る魅力に満ちあふれている、あふれ続けている存在。彼女がこのような形で縦横無尽に活躍するのをリアルタイムで追随することが出来ることを幸せと言わずしてなんと言うとね。

ヴィジョンズ (通常盤)(SHM-CD)