音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

当コンテンツではアフィリエイト広告を利用しています

birdy / bloodthirsty butchers (2004)

来月発売される新譜であり、吉村秀樹にとっての遺作でもあるアルバムからPVが公開されていたので何気なく見る、そして心臓を鷲づかみにされる。次に思う。「あれ?ブッチャーズってこんなに明るいバンドだったっけ?」と。

考えてみれば、自分がひたすら聴いているブッチャーズは3人時代の音源ばかりであり、4人体制になってからはつかず離れずの関係を保ってきた。数多ある新譜の波に飲み込まれ、それほど聴き込まずにいる間に次の作品が出ていた。

今となっては「次」はもうない。もしかしたらこの歳になってきた僕らは、触れる何物に対しても「次はもうないかもしれない」と頭の片隅に止めておかないとならないのかもしれない。

そのようなことを考えながら、ブッチャーズ作品の中でも一番再生回数が少ないと思われるこの1枚をピックアップして再生。そして再び驚く。「ブッチャーズってこんなに明るかったのか!」と。それは自分が安値安定であっても日々をどうにかこなせているから引き出される印象なのかもしれないし、本当にこのアルバムには明確な彩度が宿っているのかもしれない。ただ一つ間違いなく言えることは「僕とブッチャーズの関係は変わった」ということだ。救う、救われるの関係ではなく、心地よく聴ける音楽としての存在に変わっている。

ま。そういうことだ。そこに気がついただけでも、儲け物じゃないか。