音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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Japana-rhythm / BENNIE K (2005)

譜割りとリズムとを同化させるレベルに達するまでの邦楽における速度は、相当に恐ろしい物があったんじゃないかと。プロジェクトXとやらでは絶対に取り上げられることはないだろうけれども、日本人の底力というか特性というか、ポジティブな側面でのそれがこういうところに現われているんじゃないかなと思いながら聴く次第。

やたらと大まか、かつ、広くわかりやすいサンプルを持ち出すのであれば、これこそが宇多田以降のドラスティックな変化なんだよね。さらにそのリズミックな側面を抽出して、ポップサイドからの脱却に実験を重ねつつ体脂肪率を極端に落としたのが安室奈美恵で、純粋培養において「リリック」がメロディを凌駕するところで活動しているその筆頭がBENNIE Kという解釈で、それほど間違ってはいないと思う。

一応エクスキューズしておくと、自分の解釈としては、AIはSilvaを踏み台にした集大成だと思っているので、それはそれで「やたらと黒い日本的歌物」の一環としてある。

ちなみに宇多田ヒカルは、奔放かつ完全に日本を取り込み、舶来ブランドを現代に再確立させてしまった。それが「BE MY LAST」での9小節におよぶ「Ah」なんだよ。

あの9小節を「Ah」のつなぎで「歌」として成立させてしまうところで、黒さとは完全に切り放された民謡の世界にまで突入しているのだ。

ということで、邦楽ってやっぱり面白いんだ、ってこと。これって最近のシャッフル遊びで考えさせられていることの大きな一つなので。