SUGAR活動停止後、作品を重ねるごとにサイケ度を増していく、とっつきにくくなっていくボブおじさんのこと、前作はその奇怪の極みにあったもので、果たして今回はどうなることやらと思っていたら、これがまた実に原点回帰な仕上がりに。ボブおじさんならではの淡々としたポップスが淡々と綴られていく中で、一瞬かいま見える信仰の厚さ、敬虔であることの表明のような要素が興味深い。
中空に放り投げた自分の視点と身体を歌う人という基本的な路線は変わらず。むしろSUGAR以前のソロ作品で見られた「独り」さがあちこちにうかがえて、何度も何度も、その真意を確かめたくなってくる。ソロで歌われているギターのメロディ、その一つ一つが作り手である自分のために綴られているように思えてならない。それはきっとSURAR時代から変わっていない、ボブおじさん不変なものなんだろう。
楽器編成も、ハスカーデュー解散後の『Workbook』を彷彿させるものもあれば、SUGAR時代のベーシストDAVID BARBEも2曲で参加している。
ということで、SUGAR活動停止後のソロ作品の中では、最も聴きやすく最もボブおじさんの内面吐露に近い仕上がりになっているのではないかと。これは愛聴盤になりそうな予感。
ライナーのアートワークにも注目。これを見て『Workbook』の「Compositions For The Young An聖なるd Old」を彷彿させられたボブファンも決して少なくないと思った次第。CDは錆上がった聖杯に捨てられて終わるのか、iPodは神として君臨するのか。