音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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マーラー:交響曲第5番 / クラウディオ・アバド, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1993/2018 44.1/16)

と言うことで、先の『TAR/ター』鑑賞アーティクルは、これを聴きながら書いておりました。

映画を観た直後には「もうマーラーの5番はしばらく聴けないな」などと思っていたのですが、いやはや、聴きたくなるものですよ。どの録音を聴こうかを考えたところで、「やはりこのジャケットでしょう」と相成りました。

Claudio Abbado & Berliner Philharmoniker - The Complete Deutsche Grammophon Recordings

映画『TAR/ター』を観る(ネタバレなし)

ケイト・ブランシェット主演、アカデミー賞6部門ノミネート、映画『TAR/ター』を観てきました。

ドイツにあるオーケストラ(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がモチーフ)史上初の女性首席指揮者に就いていたリディア・ターの傲慢と転落の物語。ストーリーはその前者に大きく時間が割かれていました。

世界最高峰と呼ばれるオーケストラを率いる、その地位を得るための陰謀や策略を施し、そして手に入れた権力をかさに傲慢の極みを尽くすター。

権力を持つことは薄氷の上に立っているようなものであり、そうであってもその氷の上を渡っていかなければならない。またその既得権益を保つためには、どのような手を使ってでも、自らを慕う者を裏切り、切り捨てても、手段を選ばずに進んで行かなければならない。

ターのその傲慢さを描くためにか、存命の実在する指揮者の演奏をこき下ろすシーンや、往年の巨匠と呼ばれる指揮者を見下すかのようなシーン、クラシック音楽界最大の音楽出版社を貶すセリフなどもあちこちに散りばめられ、映画そのものがスリルの上に成り立ち制作されたのだろうと。

そして物語終盤で描かれる崩壊と転落劇は本当に一瞬。

人を裏切れば、また自分も裏切られる。導かれる暗いカタルシスが、得も言われぬ気味の悪さに繋がって行く様も見事。物語最後の最後、傲慢と強欲の至る先、とある国でのロケがよい一層の不快感へと収束されていました。

世界最高峰に立つことは、個人の実力だけでは済まされない様々なファクターが積み重ねられなければ叶わないこと。それを忘れてしまったターが多くを失うものまた当然の帰結ではあったものの、何も手元に残らないような感覚が、上映後の自分に複雑な余韻を導いていました。

マーラーの交響曲第5番がストーリーの中心に位置し、演奏を完成させていくまでの過程や、それに伴ういかにも現代的なやり取りも克明に描かれており、クラシック音楽ファンにとっても興味深い内容かと。

エンタテインメントであるとは決して言い切れませんが、なかなかに興味深いものを堪能させて頂きました。

TAR/ター

B.C.A.D. / T-SQUARE (1996/2015 DSD64)

本日の朝一に。

昨晩は21時半前には就寝していました。とにかく疲れていたのです。朝は5時前に起床。しばしうだうだした後に、雨でたまっていた洗濯物を片付けるべく動き出す。3日ぶりの晴天ですかね。

6時台には洗濯機を回し、シャワーを浴び、身体をスッキリさせてからこれを聴き始める。天気の良い休みですから、色々とやりたいことはあるのです。疲れの残滓はまだ身体にあるものの、それに引きずられている場合ではない。

B.C.A.D

DISCOVERY / Mr.Children (1999 44.1/16)

通勤の復路に。

「光の射す方へ」や「ニシエヒガシエ」など、唐突に聴きたくなる曲が入っているアルバム。ここ1年ほどで何回か聴いていたのだけれども、過去ログに残っていなかった。

このアルバムのリリースからすらもそろそろ25年が経過しようとしている。21世紀の所謂第一四半期が終わるのももう間もなくの話なのだよな。ここに収録されている楽曲は今年の新卒社員よりも歳を重ねている。

それだけでもうお腹いっぱい。時間の感覚が麻痺してくる。

DISCOVERY

串田アキラ BEST WORKS TREASURE / 串田アキラ (2012 FLAC)

貴重な俺の週末時間をこのようなものを聴いて過ごす。比較的後期の、自分の耳にそれほど馴染みのない楽曲であっても、このボーカルがあれば一本の芯が通って耳にダイレクトに響くのであります。いや、耳から心に響く、だな。

これもまた癒しですよ、癒し。

串田アキラ BEST WORKS TREASURE