初めてこのアルバムを聴いたのは、もう結構いい歳になってからで、バンドが対象としている青春真っ直中のパンクロックからは距離を置いていてもいい頃だった。それでも聴いてみると、なぜか無視をすることが許されない実直さがそこにあって、思わず自分の中の名盤チャートで駆け上がらせるという暴挙に出てしまったのだよな。
それでも自分が30代になってみれば「遠くになりにけり」と、ここから静かに立ち去ってしまったのだけれども、あらためて聴いてみればまだここから受け取ることの出来る謎のエネルギーがゆったりと立ち上っているようにも感じられる。
技巧やセンスではなく、勢いだけで全てを語ることが許される年代というものがある。そこに対する「過去への憧憬」のようなものを読み下そうとしている時点で、僕は相当年老いてしまったのかもしれない。