音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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夜行秘密 / indigo la End (2021 48/24 Amazon Music HD)

セツナ系アーバンバンドミュージック。

今作はサウンドのまとまりもよく、それまでに見受けられた「どこか寄り道をしている感」もなく、最初から最後まで通してウェットな川谷絵音の世界観に浸ることが可能になっている。

メロディもこれまで同様、何かをつかめそうでいながら、なかなかその正体、本性を現わさない感覚が深まり、よりこのバンドの持つマスカレード感につながっている。

それを一発でとらえることが許されない構成と演奏こそが、このバンド最大の魅力であり、その本領がようやくここに来て存分に発揮されている。

実のところは、なかなかに唯一無二の存在であるバンドなのだ。

水響曲 / 斉藤由貴 (2021 96/24 Amazon Music HD)

斉藤由貴デビュー35周年記念セルフカヴァーアルバム『水響曲』。本日発売。

デビューからの一連のシングル曲でアレンジを担当していた武部聡志を迎え、ピアノとストリングスを中心にアコースティックアレンジされた珠玉の代表シングル曲に、今の斉藤由貴がボーカルを乗せる。

斉藤由貴に対する自分の思い入れは深く、数年前にハイレゾ音源として過去のアルバムがリリースされた際には、大好きだったアルバムと全てのシングルを購入し、今でも愛聴しています。

アイドルにしては歌に媚びたハネがなく、どこか透明感のある、そして力を加えると折れてしまいそうな、線の細さが感じられるそのボーカルスタイルが好きでした。

その斉藤由貴が今回、それら楽曲をまとめてセルフカヴァーすると聞いて、当然のことのように一抹の不安を覚えました。あの頃の斉藤由貴のイメージが崩されるようなことがあれば、それは残念の極みでしかないからです。

そう言った背景もあり、今作は恐る恐る聴き始めました。

しかし全ては杞憂に。

斉藤由貴は当時のイメージを尊重し、その35年間の人生を軽く歌に乗せる程度のスタイルで、楽曲に今を吹き込んでくれました。陳腐なセリフで表現するならば、まさに「現代によみがえる、斉藤由貴の歌世界」です。

そこには武部聡志の素晴らしいアシストがあることを忘れてはいけません。原曲が持つ楽曲の表情は活かしたままで、完全にアコースティックなサウンドに生まれ変わらせてくれました。

斉藤由貴も武部聡志も無理に今を演出しようとしていないことが、この成功ともいえる作品に仕上げてくれたのでしょう。

セルフカヴァーをするにおいて、35年と言う歳月はあまりにもスパンが長すぎます。それだと言うのに斉藤由貴の声は全く死んでおらず、武部聡志のアレンジも冴えている。楽曲に一切の苦しさも、やせ細った感もないのです。

例えば「生きててよかったな」と思える瞬間はこう言ったものであったり。それほどの幸福感を自分に与えてくれる1枚であります。

STRAY SHEEP / 米津玄師 (2020 48/24)

昨晩イヤホンで聴いた中にこのアルバムが。

スピーカーでは耳が捉え切れていなかった細かなギミックを確認。その後にスピーカーで聴くと、また面白味が一段と増してくる。

このアルバムは本当に奥が深い。こんなものが売れ線J-POPで作られ、かつバカ売れしちゃうわけだから、まだまだ邦楽も捨てたものじゃないな、と。