音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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カメラトーク / フリッパーズギター (1990)

自分の手を離れたセレクトなら、たまにはこういう結果にもなる。

当時から「渋谷系」という言葉の意味に納得できないまま、今に至ってしまったわけだけれども、カテゴライズすることによって、そこから漂ってくる匂いへと意味を考えることなく吸い寄せられる蝶はごまんといるわけで。それならば自分も同じ香りを発していた方が何かとお得なのだろうし、それをもっともらしく表現することによって同じ香りをまとうことができるのだろうし。

そういった無形の膨張によって、根幹が見えなくなってしまったかわいそうな音楽も、これまたごまんとあるのだろうけれど。それでもこのアルバムだけは、僕のそんな余計なお世話を鼻で嗤いながら寿命を延ばしていくのだろうと思う。時代はそうそうドラスティックには変わってくれない、変わらない、という15年前からのメッセージ、というわけで。

「午前三時のオプ」に泣かされ続けて早16年。この曲が入ってなかったら「コジャレ」で終わってしまいかねない、「時代」という危うさ、怪しさを身につけただけのアルバムで終わってしまうだろうところに突如として現われた、出口を想定させないトンネルがこの曲。ないはずのなかったミッシングピース、とでもいうか。