初めて聴いたときに「これはヤバそうだ」と思っていた予感が当たり始めた。前作以降、唐突に化けはじめた宇多田ヒカルは、心の中にある音像や、生クリームとシリコンが溶け合って自分が攪拌機の中にあることを意識させるあの膜をゆるゆると波打たせる感覚を喚起させるアーティストになっちゃったということか。
この調子で行けば、50万枚売れて45万人がブーイングを起こしそうな超名盤アルバムを作ってくれそうな予感と悪寒が激しく交錯して、わくわくしてくる。
もしかしたら宇多田ヒカルの過去のシングル群の中では、最も底の見えない、深淵の恐怖を思い起こさせる最高傑作なのかもしれない。「COLORS」の対極にあるといえば納得してもらえるだろうか。