音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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キノの旅Ⅹ / 時雨沢恵一 (2006)

「ラノベ」という言葉が定着したのはいつ頃からなんだろう?

まだまだ「ライトノベル」という言葉すらも定義があやふやに用いられていた当時、徐々にこのジャンルから離れつつあった頃に出会ったのがこの『キノの旅』シリーズ。それまで代用されていた「ファンタジー」というタームでは括りきれなくなった「ジュブナイル」と「現実的な非現実」をブレンドさせて、現代寄りにシニカルに刻んだものが『ブギーポップ』シリーズで、非現実を地図にのみ利用して軽いアイロニーで描いたのが『キノの旅』という認識。自分の中で左手と右手にあるこれら作品の両方とも「電撃文庫」からの発信だったということも興味深い。ライトノベルからラノベに持っていった功績?は電撃文庫なのか。

と、まぁ、この手の小説を読み続けている人ならば3秒くらいで説明できるようなことを考えながら読む「おとぎ話」。時折現れる血の臭いが、より一層、この作品を軽くさせる。だからこそ今でも読み続けようという気になるわけだけど。

しかしこの表紙はなんだ?