音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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BLOOD MOON / 佐野元春 & THE COYOTE BAND (2015 CD-DA)

聴けば聴くほどに、溝はえぐられていく。それは自らの若さを削り捨てていくという行為。人も脱皮を繰り返す。無意識に、そして意識的に。自分はどれだけの脱皮を繰り返してきただろうか。投げ捨てた古い皮はどういう運命を辿って土に還っただろうか。そして自分は土の上に立つ。大人という名のスティグマを焼き付けられて、その痛みに耐えながら生きている。痛みもまた快楽を伴うものであれば、耐え続けることも出来よう。しかしこの痛みは癒えることはないと自ら告げている。ただそれでも生きている。大人になると言うことはそう言うことなのだと言い聞かせて、生きている。生命力は自ら作り出すもの。子どもが持つ生命の爆発力は最早なく、どこからかそれをもらい受けなくては生きてはいけない。生命力。身体の核にまだ燃えくすぶるそれが残っていると信じながら生きることも、また一つの生きる術。僕は生きる。その熾火をわずかな源としながら、僕は生きる。生きて行く。歩いて行く。