音波の薄皮

その日に聴いた音楽をメモするだけの非実用的な日記

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ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 / ヒラリー・ハーン, マレク・ヤノフスキ, オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 (2002/2015 44.1/16)

幽玄、悲鳴、啜り泣きと慈愛、そして責苦の中で全てを終えるかのような人生。一気に描き上げて去って行く様が陰鬱なカタルシスを呼ぶ。

ショスタコーヴィチの交響曲は自分にとってはまだ難解の極みにあるが、協奏曲は数十分間のドラマが克明に描かれていて分かりやすい。人の営みとは何であるかと音で問うかのよう。

ヒラリー・ハーンのヴァイオリンがその物語を、自らの音で塗り固めることなく、やはり聴き手に問うかのように余白を残して演奏しきる姿が、また陰ある鈍色の光を放っているかのようで美しい。

Hilary Hahn: The Complete Sony Reccrdings