2023-09-07 ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 / ヒラリー・ハーン, マレク・ヤノフスキ, オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 (2002/2015 44.1/16) Classical Music 幽玄、悲鳴、啜り泣きと慈愛、そして責苦の中で全てを終えるかのような人生。一気に描き上げて去って行く様が陰鬱なカタルシスを呼ぶ。ショスタコーヴィチの交響曲は自分にとってはまだ難解の極みにあるが、協奏曲は数十分間のドラマが克明に描かれていて分かりやすい。人の営みとは何であるかと音で問うかのよう。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンがその物語を、自らの音で塗り固めることなく、やはり聴き手に問うかのように余白を残して演奏しきる姿が、また陰ある鈍色の光を放っているかのようで美しい。