スガシカオの『Sugarless』シリーズは、スガシカオ作品群の中でもどこかよそ行き顔の体をしていて、個人的にはそれほど思い入れのないものだったのだけれども、前作からスパンの空いた今にこの最新の『Sugarless』を聴くと、自分もスガシカオも憑き物が落ちたかのような姿勢で歌い、聴くことが出来ていると実感した次第。
一番語りたいのは「Real Face」だな。
この曲に関してはオリジナルのKAT-TUNヴァージョンに対する思い入れや、この曲にまつわる積年の怨み辛みそねみのようなものが、それはもう紐解くのもイヤになるほどに積み重なり渦巻いているのだけれども、ここに収録されたヴァージョンで全て昇華されたような気分に。
松本孝弘による純度の高いロックアレンジになることによって、スガシカオも普段はなかなか見せないロックな表情で歌い上げていることに痛快さを覚えたのが、その要因かと。
そうなんだよね。本来はそう言った痛快な曲であるはずなのに、たまたま自分史上最も底を打っている時期に聴き込んでしまったがために、曲に罪はないはずなのに、そこにある沈殿物に足を絡め取られ、冷静に聴くことが出来なくなっていたのであります。
「Real Face」のしがらみ、ここに来てようやく天に昇ったか。