雨だし寒いしで、ヘッドホンにてこれを何をするでもなく聴く。
ああ、この前にKing & Princeのベスト盤を聴いたのだが、大した感想も持てなかったのであえて起こす必要もないな。
本ブログをろくに更新もせず、自室内で音楽を聴くこともあまりなく、この一週間何をしていたのかという記録。
映画『TAR/ター』を見てきたのは…書きましたね。
オーディオ師匠からヘッドホンの刺客が送られてきた…も、書きましたね。
山下達郎ツアーのチケットが案の定外れました。次を狙います。
グレゴリー・ポーターのコンサートを観てきました。これは何かしらの形で書き残しておきたい。
昨晩は終業間際に思い立って行きつけの焼酎居酒屋で…お通しと一品だけを食べて、あとはひたすら焼酎を…何杯飲んできたんだ?4杯?5杯?ヘベレケになって帰ってきました。
そのまま私の週末へと突入ですよ。
書いたこと以外の記憶がほとんど残っておりません。そんなこんなで辛うじて呼吸をしておりました。
今日明日の休みは、たまっている音源の宿題を片付けないとならないのではないかと。
SOUND HOUSE(サウンドハウス)による「CLASSIC PRO」ブランドのワイヤレスモニターヘッドホン。
その基本性能と音楽再生能力の高さに驚かされた。
近年のヘッドホンと比較して、一聴すると低音域が少し不足しているようにも感じられるかもしれないが、それが逆に大きなアドバンテージになっている。特にベースの動きや、ソースによっては録音時のスタジオ、ブースのアンビエントまでをも把握することが出来るのだ。
またやはり最近のヘッドホンにありがちな、低音域過多による中音域のマスキングが少ないために、ボーカル帯域も明瞭。ギターのストロークや、シンバルなどの金物のアタックや散り加減もはっきりと表現されている。
楽器の一つ一つを描き分ける分解能も非常に高いために、楽器の配置や各楽器が持っているアンビエントもわかりやすく、ミックスの意図もしっかりと意識させられる。
わずかにボリュームを上げ気味にしてみると、例えばフェードアウト時の切り口のタイミングも聴き取れる。それほどまでに本機が繊細さを持っていることも意味している。
総じてトゥー・マッチ・ファットなピラミッドではなく、自然なピラミッド。モニターヘッドホンのモニターたるゆえんがここにあるのでは。かといって従来のモニターヘッドホンにありがちな味気のない音ではなく、音楽を楽しむ上でのきらびやかさも兼ね備えている。
恐ろしいことにこれらはスマートフォンからのaptXでのBluetooth伝送音によるインプレッション。これならば同種同系列に展開されているワイヤード専用ヘッドホンをあえて選択する意味は大きく失われる。ワイヤードの音質は担保された上で、Bluetooth接続においても音楽を楽しむ上での基本性能が十二分に備わっているからだ。
対応コーデックの最上位がaptXであるために、ハイレゾ音源再生時におけるディスアドバンテージがあるのではとも危惧したのだが、前述の通り、音楽再生能力の資質がしっかりしているために、その音源がCD音質レベルにリデュースされても違和感が少ない。
これが税込定価7,980円の音であるとはにわかには信じがたい。時折クーポンによる割引が行われているので、そのタイミングで買うととんでもなく破格で高性能なヘッドホンが手に入る。
ノイズキャンセリングは不要、Bluetoothでもワイヤードでも楽しめる、そのような安くて高性能なヘッドホンが欲しいのであれば、本機は間違いない選択になる。
今回は既に購入した方から本機をお借りしてファーストインプレッションを書いたのだが、これは自分でも購入することは間違いない。
ケイト・ブランシェット主演、アカデミー賞6部門ノミネート、映画『TAR/ター』を観てきました。
ドイツにあるオーケストラ(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がモチーフ)史上初の女性首席指揮者に就いていたリディア・ターの傲慢と転落の物語。ストーリーはその前者に大きく時間が割かれていました。
世界最高峰と呼ばれるオーケストラを率いる、その地位を得るための陰謀や策略を施し、そして手に入れた権力をかさに傲慢の極みを尽くすター。
権力を持つことは薄氷の上に立っているようなものであり、そうであってもその氷の上を渡っていかなければならない。またその既得権益を保つためには、どのような手を使ってでも、自らを慕う者を裏切り、切り捨てても、手段を選ばずに進んで行かなければならない。
ターのその傲慢さを描くためにか、存命の実在する指揮者の演奏をこき下ろすシーンや、往年の巨匠と呼ばれる指揮者を見下すかのようなシーン、クラシック音楽界最大の音楽出版社を貶すセリフなどもあちこちに散りばめられ、映画そのものがスリルの上に成り立ち制作されたのだろうと。
そして物語終盤で描かれる崩壊と転落劇は本当に一瞬。
人を裏切れば、また自分も裏切られる。導かれる暗いカタルシスが、得も言われぬ気味の悪さに繋がって行く様も見事。物語最後の最後、傲慢と強欲の至る先、とある国でのロケがよい一層の不快感へと収束されていました。
世界最高峰に立つことは、個人の実力だけでは済まされない様々なファクターが積み重ねられなければ叶わないこと。それを忘れてしまったターが多くを失うものまた当然の帰結ではあったものの、何も手元に残らないような感覚が、上映後の自分に複雑な余韻を導いていました。
マーラーの交響曲第5番がストーリーの中心に位置し、演奏を完成させていくまでの過程や、それに伴ういかにも現代的なやり取りも克明に描かれており、クラシック音楽ファンにとっても興味深い内容かと。
エンタテインメントであるとは決して言い切れませんが、なかなかに興味深いものを堪能させて頂きました。